中小企業トップセミナーを開催しました!  -明日を読む!グローバル化を生き抜く中小企業-

15/10/9

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【満員に埋まった会場で挨拶する髙橋副会長】

 東京中央会等主催の「中小企業トップセミナー」が10月7日(水)、新宿区市ヶ谷本村町の「ホテルグランドヒル市ヶ谷 白樺」において会員組合の役職員など約120名の参加のもと開催されました。
 今回は「明日を読む!グローバル化を生き抜く中小企業」をメインテーマに、フリージャーナリストとして執筆活動を行う傍らテレビ・ラジオの報道番組でコメンテーターとして活躍され、政界、官界、財界に豊富な人脈を有する須田慎一郎先生、国際政治と安全保障の専門家として、テレビ出演や講演など多方面で活躍されている東京国際大学国際戦略研究所村井友秀教授、イトーヨーカ堂において高度成長期からバブル崩壊期を経てデフレへと激変する時代に流通の最前線で指揮官を務め、現在は流通コンサルタントとして活躍している片山裕介先生をお招きして、それぞれの視点から、グローバル化を生き抜くための中小企業の進むべき方向性と経営者に求められる姿勢について、お話していただきました。

テーマ・講師

(1)10:30~12:00
  「これからの日本の行方
   ~政治と経済はどう動くのか~」
   須田慎一郎事務所 代表
    須田 慎一郎 先生
h27topseminar-suda【須田 慎一郎 先生】
終戦直後からバブル経済崩壊まで8回も経済拡大があり、経営者も勤労者も普通に努力すれば報われる時代が続きましたが、今後は、こうした状況は到底望めません。

 

 これからは、向こう岸理論やトリクルダウン理論(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちるという理論)に代表されるように一握りの企業が勝ち組となり、先鞭を付けて成長軌道に乗せ、広く経済効果を波及していくため、政府が新三本の矢等の支援策を行っていかなければなりません。  

 

 また、講師は、パナソニックの温水便座の中国での販売戦略を例に出して、インバウンドで秋葉原の家電量販店を訪れる中国人観光客を如何にして呼び寄せることが出来たのかという点を勝ち組企業の成功事例として紹介されました。

 

(2)13:00~14:30
  「東アジア情勢と日本の進路」
  東京国際大学国際戦略研究所 教授
   村井 友秀 先生
 
h27topseminar-murai【村井 友秀 先生】
 最近の安全保障、正当防衛、特に日米同盟下における集団的自衛権の考え方について政府を含めて正しくきちんと認識をする必要があるというお話がありました。まず、日本国内で集団的自衛権と個別的自衛権を正しく理解する必要があります。集団的自衛権は、同盟国であるアメリカとの関係のみならず、自分の家族に対してではなく、他人の子供が酔っ払いに絡まれていることになぞられて、関係のない他国を守るという説明をされていました。

 

 また、日本人の行動パターンに関しては、プロスペクト理論で理解できるものの、中国のそれは異なります。スケープゴート理論で尖閣列島の問題を理解することとなります。

 

 現在、日中関係が非常に緊迫した状況にありますが、中国は国内問題がこじれてくるとそれを回避するため、日本に対して挑発的な態度をとることも多々あるようです。これは、中国のパフォーマンスにすぎないのであまり慌てる必要がないとのことですが、バックにアメリカが存在するということを誇示していかなければなりません。つまり、中国は絶対弱いと思われる国に対しては高圧的な態度をとってきますので、日本がアメリカを始めとするとする同盟国と強固な体制を構築していることを認識させる必要があります。また一方で、日本今後は、世界の常識からかけ離れた日本の論理では、いざというときに同盟国からすらも見放されることも大いにあり得ると言うことを肝に銘じておかなければならないということでした。

(3)14:45~16:15
  「今経営者に何が求められているか
   ~セブン&アイHLDの経営手法から学ぶ~」
  リテールデザイン研究所 所長
   片山 裕介 先生
 
h27topseminar-katayama【片山 裕介 先生】
 セブン&アイHLDの経営理念の基本としては、「基本の徹底と変化への対応」です。日本経済は、バブル崩壊以降長いデフレを抜けて人口減少・少子高齢化・消費飽和といった成熟マーケットに入ってしまったため、差別化を図らないと生き残りはとても難しくなりました。

 

 現在小売業で大きな変化が起こりつつあります。これは、「オムニチャネル」と呼ばれています。これはネットとリアル(店舗)の融合であり、今広島でテスト的に営業していますが、ネットで注文して、店舗で受け取るスキームの構築となっています。つまり、百貨店で販売している商品をスマートフォンで注文して、セブンイレブンの店舗で受け取るという仕組みです。

 

 また、これまでの商売は、マス(大勢の人)を対象にしていましたが、現在では、お一人様世帯が、家族のいる世帯よりも増えていますし、買い物に時間を割けない、パーソナル(個人)を対象にしていかなければなりません。こうした変化に小売業は対応していかなければならず、経営者は常に好奇心と感性を磨いておくことが求められています。加えて、「価格バリューの心理」「三択の心理」といった消費者心理も理解することも重要とのことでした。