中小企業団体情報連絡員報告会(平成24年度下期)開催される

13/3/15

 本会は3月14日(木)、東京都中小企業会館9階講堂において「平成24年度下期中小企業団体情報連絡員報告会」を開催いたしました。
 中小企業団体情報連絡員は、都内の中小企業の景況を調査するため、各業種の組合役職員150名に対して本会が委嘱しているものです。各情報連絡員から寄せられた毎月の景況の調査結果は、東京都及び全国中小企業団体中央会に報告するとともに、情報誌「中小企業だより」においても毎号 「情報連絡員報告」として掲載しております。
 本報告会は、平成24年8月から平成25年1月までの調査結果をとりまとめ、出席した情報連絡員に報告を行い、今後の調査活動の一助とするために開催しています。

会場の様子

会場の様子
【報告会の様子】

 まず、出席された東京都産業労働局商工部調整課 山田千絵子課長補佐からのご挨拶の後、本会情報課担当者より「中小企業組合危機管理対応等実態調査報告書の概要について」及び「中央会ホームページのリニューアルについて」と題してそれぞれ説明を行いました。
 引き続き、報告会の座長を務めた本会の高橋 功副会長が「経済概況報告」として新たな経済財政政策や民法などの法整備の動向等について解説しました。
 その後、本会情報課担当者が「情報連絡票のまとめ」及び「要約」に沿って、平成24年度下期(平成24年8月~平成25年1月)における『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『取引条件』『収益状況』『資金繰り』『設備操業度(製造業のみ)』『雇用人員』のDI値の動向、期中の総合的な動きや、情報連絡員から寄せられた各業界の具体的な業況などの概要について説明しました。
 さらに、出席した情報連絡員3名からは、組合間におけるBCP協定への取り組み状況、業界の技能人材不足、円安に伴う今後の景況見通しについての報告が行われ、双方向的な情報提供・交換の場を設けることが出来ました。

山田 東京都調整課長補佐
【山田 東京都調整課長補佐】
高橋 副会長
【高橋 副会長】



下期景況の要約

~各項目のDI値は大幅に悪化するも、回復の期待が高まる~
(上期:H24.2~H24.7)(下期:H24.8~H25.1)

 平成24年度上期と比較した半年間の期間平均の各DI値(前年同期比)をみると、製造業は「販売価格」を除く8項目、非製造業は全ての項目(調査項目は製造業9項目、非製造業8項目)でマイナス幅が拡大する結果となった。平成24年度上期の調査結果を振り返ると、前半は製造業の「売上高」DI値が東日本大震災前と同水準にまで回復するなど大きく改善していたが、後半では一転して各項目とも急激に悪化していた。平成24年度下期においては上期後半の傾向がより顕著となり、製造業における「売上高」DI値が東日本大震災直後に近い数値にまで後退するなど、中小企業の厳しい実態を示している。
 前記のとおり、平成24年度下期の各DI値は大きく悪化したものの、下期最終月の平成25年1月の調査結果では、非製造業における「業界の景況」や「売上高」をはじめとした複数の項目が大きく改善している。平成24年12月に発足した新政権は大規模な経済対策を打ち出し、日銀も大胆な金融緩和に踏み出したことから、景気回復への期待が高まっている。各情報連絡員からの報告によると、多くの業界が経済対策の効果が目に見える形で現れるには、今しばらく時間がかかると冷静に判断していることが伺えるが、来年度の調査において、各調査項目が大幅な回復を果たすことを期待したい。
 情報連絡員の報告では、尖閣問題に端を発した中国との関係悪化の影響、電気料金や原材料費値上げによるコストの増大、さらには年末需要の縮小や組合員間の業績格差等が報告されている。また、新政権への期待とともに、中小企業に対しての支援策の拡充を求める声が多く寄せられた。

  業界の景況DI 売上高DI 収益状況DI
上 期 下 期 上 期 下 期 上 期 下 期
製 造 業 -27.7  → -42.5 -3.8   → -29.6 -28.2  → -39.5
非製造業 -42.6  → -48.1 -19.1  → -33.9 -39.6  → -48.3

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 各月の特記事項及び動き ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

8月
「前年同月比の売上は減少となった。円高による部品の海外調達の流れが止まらない。大口ユーザーからの値下げ要請が続いているが、電気料金が値上げされている中で、ユーザーの要請に応えることは難しい。」 
(鍍金加工業)

 


 
「昨年は震災後、絆を求める意識が強まり、家族で遊べる玩具の売上が伸びた。しかしながら、今年はテーマパークを始めとして行楽地に出向く家族が増え、玩具への志向も弱まったことから、夏休み商戦は不調に終わった。」
(玩具卸売業)

 


9月
「地場の建具業界は大手建材メーカーが海外で行っているユニット建具との価格競争に敗れたことにより倒産が相次いでいる。現在、業界では生産体制を維持するために、団塊の世代を対象とした高齢者向け住宅用建具の開発を進めている。」
(建具製造業)

 


 
「自動車向けのハーネスワイヤと建設用電線が好調であった。しかしながら中国との関係悪化により自動車メーカーが中国向け自動車の生産調整に入ったため、売上の減少が予想される。」
(電線卸売業)

 


10月
「前年の同時期は予想に反して受注量が急増し、期間工の募集に苦労した。このため今年は生産量が増加するとの想定のもと、期間工の募集を行ったが、一転して受注量は減少し、結果的に期間工を必要としない事態となった。」
(自動車部品製造業)

 


 
「今年の米の作況指数は全国平均で102ポイントと豊作を示しており、約28万トンの供給過剰となる見込みである。それにもかかわらず仕入価格は高止まったままであり、特に業務用の低価格米の値上がりが顕著となっている。」
(米穀小売業)

 


11月
「側溝等のコンクリート二次製品の需要が減少している。受注競争が激しくなるとともに、組合員間に売上量の格差が生じている。」
(コンクリート製品製造業)

 


 
「組合員の取扱品(時計、宝飾、眼鏡)全般の売上が鈍い。売上があるのは低価格帯の商品に限られている。特に低価格商品を主力に揃え、多店舗化している大型チェーン店の台頭が著しい眼鏡の売上状況は厳しい。」
(時計・宝飾・眼鏡小売業)

 


12月
「年末需要が発生しなかった。単価は下落傾向にあり、稼働率も低下している。今後さらに単価が落ち込む可能性が大きく、不安感が増している。」  
(ガス圧接業)

 


 
「明るい兆しは一向に見えてこない。12月は需要が上向くと期待していたが、大型商品の売上げが少なく非常に厳しかった。経営者の高齢化が進展する中で現在の景況が続けば、廃業者が増加することが危惧される。
(電器製品小売業)

 


1月
「円安の打撃を受けて、輸入原料が値上がりしたため、コストが増大している。販売価格の値上げは困難であり、厳しい状況となっている。」 
(漬物製造業)

 


 
「円安が進み、再生資源の市況回復が期待出来るものの、実感するまでには半年程度かかると想定している。」
(再生資源卸売業)

 


 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 各月の要望事項 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

8月
「原材料価格は高止まりしており非常に厳しい状況にある。経費節減などの自助努力には限界があり、何らかの支援策を講じていただきたい。」  
(金属熱処理業)

 


 
「景気対策や雇用促進策を早急に講じていただきたい。」
(建築金物製造業)

 


9月
「最低賃金を撤廃するか、適用する対象を大企業と中小企業で区別してほしい。また、生活保護制度の見直しも検討してほしい。」 
(洋服製造業)

 


 
「官公需における入札価格の低下は深刻であり、中小企業の経営を圧迫している。入札制度の見直しを是非とも講じていただきたい。」 
(複写業)

 


10月
「特に学校給食を扱う組合員は福島県産品を避けざるを得ない状況が続いている。業者による福島県産品の販促努力にも限界があり、行政には支援をお願いしたい。」
(青果小売業)

 


11月
「中小企業金融円滑化法の期限が切れた後、ソフトランディングできるような金融支援策を講じていただきたい。」
(貨物自動車運送業)

 


12月
「国は経費削減のため官公需における物品納入の際、原価割れの入札を是認してきた。政権交代を機に国は中小企業にも希望の持てる施策を講じてほしい。」
(文具小売業)

 


1月
「消費税の増税は食料品を扱う事業者団体として断固反対である。また増税が避けられないのであれば、税率や表示方式等で零細企業に最大限の配慮をしていただきたい。 
(鮮魚小売業)

 


担 当;東京都中央会 情報課
TEL;03-3542-0389(直通)
FAX;03-3545-2190