中小企業団体情報連絡員報告会(平成24年度上期)開催される

11/9/20

 東京中央会は9月19日(水)、東京都中小企業会館9階講堂において「平成24年度上期中小企業団体情報連絡員報告会」を開催しました。
 中小企業団体情報連絡員は、都内の中小企業の景況を調査するため、各業種の組合役職員150名に対して本会が委嘱しているものです。各情報連絡員から寄せられた毎月の景況の調査結果は、東京都及び全国中小企業団体中央会に報告するとともに、情報誌「中小企業だより」においても毎号「情報連絡員報告」として掲載しております。
 本報告会では、平成24年2月から平成24年7月までの調査結果をとりまとめ、出席した情報連絡員に報告を行い、今後の調査活動の一助とするために開催しています。

報告会の様子

報告会の様子
【報告会の様子】

 まず、来賓として出席された東京都産業労働局商工部調整課 山田千絵子課長補佐からのご挨拶の後、本会業務課長の鴨志田より「中小企業のための震災対応マニュアルを活用したBCP(事業継続計画)策定のすすめ」と題して、本会が作成した『中小企業のための震災対応マニュアル』の活用について説明が行われました。引き続いて、報告会の座長を務めた本会の高橋 功副会長が最近の経済情勢及び労働契約法の改正、高齢者雇用安定法の改正のポイント等について解説しました。
 その後、情報課安藤が、配布した「情報連絡票のまとめ」及び「要約」に沿って、上期(平成24年2月~平成24年7月)の『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『取引条件』『収益状況』『資金繰り』『設備操業度(製造業のみ)』『雇用人員』のDI値の動向、期中の総合的な動きや、情報連絡員から寄せられた各業界の具体的な業況などを説明しました。
 さらに、出席した情報連絡員4名より業界や組合の状況報告が行われ、双方向的な情報提供・交換の場を設けることが出来ました。

山田氏
【山田東京都調整課長補佐】
鴨志田氏
【鴨志田本会業務課長】
高橋氏
【高橋本会副会長】


上期景況の要約

~回復傾向を示していた各項目は、今期後半より一転して悪化~
(前期:H23.8~H24.1)(今期:H24.2~H24.7)

 今期の都内中小企業の景況を情報連絡員の報告から見ると、半年間の期間平均の各DI値(前年同期比)は、平成23年度下期と比較して製造業は「販売価格」を除く8項目、非製造業は「在庫数量」と「販売価格」を除く6項目(調査項目は製造業9項目、非製造業8項目)でマイナス幅が縮小する結果となった。平成23年度下期の調査では、各DI値とも緩やかな回復傾向を示していたが、今期はその傾向がさらに強まった。特に3月から5月にかけての製造業における「売上高」DI値はプラスとなったが、「売上高」DI値がプラスとなったのは、平成23年2月以来であり、数値上は東日本大震災前の水準に戻ったと言える。しかしながら、各項目とも経済が極めて悪化した震災後の状況と比較した結果であり、本当の景気実態を現しているとは言い難い。また、製造業、非製造業とも6月を境に多くの調査項目で数値が悪化している。これが景気悪化の始まりであるのか、それとも一過性のものなのか、今後の動向が注視される。
 情報連絡員の報告では、電気料金値上げの影響やエコカー補助金の終了を見越した自動車関連受注の減少、また、価格競争や組合員間格差の増大、さらには販売価格の低迷等を伝える声が多く寄せられた。


業界の景況DI 売上高DI 収益状況DI
前 期 今 期 前 期 今 期 前 期 今 期
製 造 業 -34.0  → -27.7 -17.5  → -3.8 -36.9  → -28.2
非製造業 -47.0  → -42.6 -35.0  → -19.1 -50.8  → -39.6

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 各月の特記事項及び動き ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2月
「売上高は僅かながら増加したものの、震災特需も含まれており、今後この状況がどれだけの期間続くのかが不透明である。」
(工業塗装業)


 
「例年2月は閑散期であるが、今年は健闘したと言える。厳しい状況の中でも売上高を維持することが出来た。ただし、楽観出来る状況にはない。」
(玩具卸売業)


3月
「テニス用品市場が活気を取り戻し、各社とも新製品をこぞって送り出している。日本人選手の活躍が追い風となっている。」
(スポーツ用品製造業)


 
「昨年東日本大震災により中止を余儀なくされた東京モーターサイクルショーが開催された。入場者総数は初めて10万人を超えるなど、盛況理に終了した。」
(自動二輪車小売業)


4月
「電気料金値上げに伴うコスト増加への対応に苦慮している。また、東京電力との契約内容により、値上開始時期に差があることから、不公平感が現れている。」
(印刷業)


 
「新車販売が好調であるため下取車が増えており、中古自動車の流通量も増加している。ただし、販売価格が低下しているため、収益状況は悪化している。」
(中古自動車小売業)


5月
「稼働率は上昇し、売上高も増加しているが、販売価格の上昇には至っていない。ただし価格自体は安定しており、今後は価格の上昇を期待している。」
(ガス圧接業)


 
「震災の影響を受けた前年と比較して、仕入価格が下がった一方で売上高は上昇しているため、景況は回復している。ただし、外食産業への売上は依然として厳しい。」  
(鶏肉・鶏卵小売業)


6月
「国内向けの生産は何とか維持しているものの、輸出向けの生産は非常に厳しい。また、業績に組合員間格差が現れている。」
(農機具製造業)


 
「冷蔵庫は横這いの状況。エアコンについては翌日据付をPRしているものの、動きは少ない。LED照明のPRが功を奏し、売上は伸びているが、太陽光発電については、費用が高額であることから、受注に結びついていない。」
(電器製品小売業)


7月
「自動車向け部品の生産が前月と比べ減少した。」
(ダイカスト製品製造業)


 
「昨年の震災後の景況は、極端な悪化状況を示していた。このため前年同月比での景況は見かけ上好転しているものの、業界の本当の状況を現したものとは言えない。」
(食器小売業)



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 各月の要望事項 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2月
「業界最大の懸案事項は電気料金の値上げであるが、ガス料金の値上げも続いている。エネルギー消費の大きい業界に対しては救済策を講じていただきたい。」
(金属熱処理業)


 
「中小零細小売店の状況が厳しいにも関わらず、農業等に比べ振興策はあまりにも少なすぎる。」
(化粧品小売業)


3月
「零細小売店では内税方式である消費税を価格に転嫁することが難しい。消費税が増税される際は外税方式の導入を検討していただきたい。」
(青果小売業)


 
「人件費が上昇傾向にあるにもかかわらず、公共工事予定価格の積算用の基準価格である、「公共工事設計労務単価」が下がっている。実態を踏まえて設定していただきたい。」
(管工事業)


4月
「東京港の国際競争力強化の為に設備拡充と防災対策を講じていただきたい。また、作業員の高齢化に対応する作業効率化に対し支援策をお願いしたい。」
(港湾運送業)


5月
「海外進出しているセットメーカーの部品の現地調達が加速している。また、国内においても廉価な韓国、中国製部品へのシフトが進んでいる。TPPへの加入等、産業施策について、早期に決断していただきたい。」
(鍍金加工業)


 
「再生紙にこだわるあまり、対応できない中小の印刷、出版業界に大きな影響が現れている。環境施策に携わる行政は考えを改めていただきたい。」
(紙卸売業)


6月
「福島県産の農産物は依然として消費者に受け入れられていない。行政は消費者の不安の払拭に努力していただきたい。」
(青果小売業)


7月
「官公需の発注について、自治体等では中小企業者を圧迫する「セリ下げ方式」の入札が行われている。こうした行政の対応には断固として反対していく。」
(文具小売業)


 
「商店街における放送設備や電子看板の整備に対する支援策を強化してほしい。」
(商店街)



担 当;東京都中央会 情報課
TEL;03-3542-0389(直通)
FAX;03-3545-2190