中小企業団体情報連絡員報告会(平成22年度下期)開催される

10/3/22

 東京中央会は3月16日(水)、東京都中小企業会館9階講堂において「平成22年度下期中小企業団体情報連絡員報告会」を開催しました。
 情報連絡員は、都内の中小企業の景況を調査するため、様々な業種の組合役職員150名に対して本会が委嘱しているものです。情報連絡員から寄せられた景況の調査結果は本会発行の中小企業だよりにおいても毎号「情報連絡員報告」として掲載しております。
 本報告会では、平成22年8月から平成23年1月までの調査結果をとりまとめ、出席した情報連絡員に報告を行い、今後の調査活動の一助とするために開催しています。以下のとおり報告会の概要と当日配布した平成22年度下期情報連絡員報告の「要約」を紹介する。

会場の様子
【会場の様子】

 まず、来賓として出席された東京都産業労働局商工部調整課課長補佐の秋山陽子氏からのご挨拶の後、引き続き、株式会社商工組合中央金庫ソリューション事業部明石一豊次長より「電子記録債権取引(でんさいネット)」の説明が行われました。引き続いて本会副会長有手 勉が最近の経済情勢について解説しました。
 その後、有手が座長となり議事に入り、情報課安藤は、配布した「情報連絡票のまとめ」及び「要約」により、下期(22年8月~23年1月)の『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『収益状況』『取引条件』『設備操業度(製造業のみ)』『資金繰り』『雇用人員』等のDI値の動向、期中の総合的な動きや、情報連絡員からの寄せられた各業界の具体的な業況などを説明しました。
 さらに、出席者より各業界の状況報告が行われ、双方向的な情報提供の場を設けることが出来ました。

下期景況の要約

 以下は、情報連絡員報告会で報告された今期の景況の「要約」です。

 今期の都内中小企業の景況を情報連絡員の報告から見ると、半年間の期間平均の各DI値(前年同期比)は、平成22年度上期と比較して、製造業は売上高他7項目、非製造業も売上高他6項目(調査項目は製造業9項目、非製造業8項目)で回復傾向を示す結果になった。しかしながら、平成22年度上期まで右肩上がりで大幅な回復を示していた各項目も、今期に入り景況のラインは平行線をたどっており、回復基調は一転して鈍化した。
 製造業、非製造業とも「景況」「売上高」「収益」の各DI値は、前期に比べそれぞれ小幅ながらも改善しているが、「売上高」が数値上マイナス幅を大きく減らしているのと比較して、「景況」「収益」のDI値は「売上高」の数値レベルには及んでいない。これは前期と同様の傾向であるが、売上自体は増加しているものの、販売価格の値下げ等により多くの事業者は採算ラインに達していない実態を表しているものと思われる。このように景況の回復度合いは依然として不十分であることに加え、円高や原材料価格の高騰など景気のマイナス要因が新たに発生しており、今後の景況は予断を許さない状況となっている。
 具体的な情報連絡員からの報告では、消費者の低価格指向や組合員間格差の増大、季節需要の不振、組合員の脱退等を伝える声が多く寄せられている。また、家電エコポイント制度の変更やエコカー補助金の終了によって、各業界に影響を及ぼしている実態が明らかになった。


業界の景況DI 売上高DI 収益状況DI
前 期 今 期 前 期 今 期 前 期 今 期
製 造 業 -32.6↑ -32.5 -14.2↑ -11.0 -34.9↑ -33.9
非製造業 -45.9↑ -41.7 -29.7↑ -25.0 -45.3↑ -38.6

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 各月の要望事項 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

8月
「売上高は下落し続けている。適正価格では受注につながらず、値引き販売が常態化している。見積もり数は多いものの受注につながらない。」
(帆布製品製造業)


 
「段ボールシートの生産量は7ヶ月連続で前年の生産量を上回った。しかしながら収益状況に変化は無く、包装材の景況が回復しているとは言い難い。」
(包装材料小売業)


9月
「エコカー補助金が終了したことにより、自動車販売は減少している。10月以降は15%の受注減となる模様。」
(ダイカスト製品製造業)


 
「過当競争に陥っているため、収益率は悪化。車両台数10台以下の組合員はさらに減車を行い事業規模を縮小することで経営を維持している。」
(貨物自動車運送業)


10月
「9月より発注元が生産調整を行っており、受注量は減少する一方、コストダウンの要請も厳しい。また、円高が続き発注先の海外移転が加速すれば、その影響は計り知れない。
(鍍金加工業)


 
「新たな需要期を作るべく、毎年10月の第3日曜日を「孫の日」と定め販促活動を実施している。未だ世間に浸透しているとは言い難いが、今後とも継続的にPR活動を行っていきたい。」
(玩具卸売業)


11月
「廃業を検討している組合員が増加している。売上が減少する中、多品種小ロットの注文が多いなど困難な状況が続く中で、倒産する前に廃業しようとの考えに至っている模様である。」
(中華麺製造業)


 
 「中古車の流通量は相変わらず不足している。円高で輸出業者の買い控えもあり、オークション会場にも活気がない。」
(中古自動車小売業)


12月
「原材料価格の上昇が懸念されている。景況については組合員間に格差が生じている。」
(ゴム製品製造業)


 
「お歳暮需要は低調に終わり、業績は低迷した。」
(缶製造業)


 
「ユーザーである理容業界では理容師志願者が激減しており、業界全体に危機感が広まっている。都内の理容組合では高等学校を訪問して理容師の仕事を説明する課外授業を開催し理容師の魅力をPRしている。当組合も理容師組合と協調して理容師志願者の獲得に向けて運動を展開している。」
(理容用品卸売業)


1月
「前年比20%に近い工賃の低下と、工程が複雑で生産性の落ちる仕事の増加で組合員の収益は極度に悪化している。このため、組合員の事業継続のモチベーションが大きく低下している。」 
(洋服製造業)


 
「昨年11月のエコポイント先取り需要の影響がはっきり出ている。テレビの在庫量が増加しており、販売価格は低下し始めている。」
(電器製品小売業)



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 各月の要望事項 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

8月
「下請法を企業が有効に活用するためには、具体的どうすればいいか。実際に活用できる支援策の実施を望む。」
(缶製造業)


 
「自動車の定期点検・整備はCO2の削減に寄与する。環境対応の観点から定期点検・整備を推奨してほしい。また、高齢・初心者ドライバーの事故防止のため、ブレーキとアクセルの踏み間違えを防止する装置やブレーキアシスト装置の設置義務化をお願いしたい。」
(自動車整備業)


9月
「人気の繁華街を除き、組合員が加入している多くの商店街ではシャッターが閉じている店舗が増えている。お年寄りが近所の商店街で最低限の買い物ができるよう緊急の対策を講じていただきたい。」
(化粧品小売業)


10月
「ガソリンスタンドの地下タンクに対して、消防法に基づく規制強化が実施されることになり、このままではスタンドの廃業が相次ぐことが予想される。業界存続のためにも規制の緩和か助成措置の実施を強く要請したい。」
(石油小売業)


11月
「ゼネコンの安値受注の影響が下請中小企業に及んでいる。下請保護策の実施を切に望む。」
(管工事業)


12月
「かいわれ大根等の青果物に出荷日の日付シールが貼られはじめている。行政指導があったと思われるが、行き過ぎではないだろうか。食品の安全策は必要であるが、食品を無駄にしない方策を講じてほしい。」
(青果小売業)


 
「個人情報保護法の影響により複写や出力業務の大企業からの発注が激減している。行き過ぎた制度の見直しを進めてほしい。」
(複写業)


1月
 「中央省庁が導入を検討していると言われる官公需発注の際の「競り下げ」は、中小企業をさらなる低価格競争に追い込む可能性があり、再検討願いたい。」   
(印刷業)



担 当;東京都中央会 情報課
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