中小企業施策に関する要望

1.
適時・適切な景気対策の実施を!

 我が国企業の99.7%を占める中小企業においては、未だ景気回復を実感するにはほど遠い状況にある。景気回復が及んでいない地域や中小企業を活性化させ、景気回復を本格化させるため、適時・適切な景気対策の実施が必要である。

2.
中小企業対策全体の充実・強化を!

 中小企業基本法は、国の責務として、中小企業に関する施策を実施するため必要な法制上・財政上・金融上の措置を講ずることを定めている。国が責任を持って実施することが不可欠な中小企業施策における助成措置としての中小企業補助金は、創業・起業の促進、連携の推進、経営革新支援など、我が国経済活性化のために必要不可欠である。
 したがって、我が国中小企業が経営革新や新事業展開に果敢に取り組んでいけるよう、中小企業対策予算の確保・充実など中小企業対策全体を拡充することが必要である。

3.
中小企業連携組織対策の充実・強化を!

 中小企業基本法は、国の責務として、中小企業が相互にその経営資源を補完することに資するため、中小企業者の交流又は連携の推進、中小企業者の事業の共同化のための組織の整備、中小企業者が共同して行う事業の助成その他の必要な施策を講ずることを定めている。
 中小企業連携組織対策は、中小企業が個々では対応が困難な課題を解決するために中小企業自らが組織し運営する中小企業組合などの連携組織の活動を強化・支援することにより中小企業の振興・発展を図るための方策である。
 したがって、中小企業連携組織対策を中小企業対策の重要な柱として位置付けを強化し、国庫補助金を確保・充実する必要がある。
 いわゆる「三位一体の改革」において、都道府県向け国庫補助金の廃止が議論されているが、とりわけ、中小企業連携組織対策事業費補助金を含む小規模企業等活性化補助金は、その重要性に鑑み、全国一元的な観点からの推進が必要であり、国と地方が一体となって実施されるべきものであることから、廃止することなく引き続き確保し、さらに充実する必要がある。
 また、中小企業連携組織対策は、連携組織に対する専門の支援機関である中小企業団体中央会が担っており、連携組織の支援を担当する指導員等の人員の維持・確保をはじめとした指導体制の整備・強化が不可欠である。このため、平成10年度より国庫補助から地方交付税化されている都道府県中小企業団体中央会の補助対象指導員等の人件費が削減されることのないよう十分配慮する必要がある。

4.
商工中金等政府系中小企業金融機関の民間金融補完機能の充実を!

 商工中金をはじめとする政府系中小企業金融機関は、最大のユーザーである地域の中小企業者のために存在しており、将来にわたって民営化・統廃合は行わず、現状レベルの民間金融補完機能を維持し、機関ごとの貸付規模、組織、機能を強化すべきである。

(1)
政府系中小企業金融機関は、地域中小企業のセーフティネット機能を発揮しており、多くの中小企業とそこで雇用されている従業員を各地域において支えている。
(2)
創業、経営革新、再生などのリスク評価が困難な分野に対応し、担保・保証に過度に依存しない融資や地域の民間金融機関と協調しながら多様な資金供給が円滑に行われるための呼び水としての役割を発揮している。
(3)
組織形態やユーザーの違いにより、機関ごとに機能が異なっており、三機関を統合することとなれば、特性が打ち消され、中小企業に対するサービスの低下をもたらすこととなる。

5.
まちづくり推進のための新たな枠組みの構築を!

 コンパクトで暮らしやすく、にぎわいのあるまちづくりを推進するため、以下の内容の「まちづくり推進のための新たな枠組み」を早急に構築する必要がある。

(1)
まちづくり三法等まちづくりに関連する法令を一体的に運用するための枠組みとして、国、都道府県、市町村のまちづくりに関する役割を明示する「まちづくり推進法(仮称)」を制定し、運用の整合性を確保する。
(2)
都市計画法を抜本的に改正し、都市計画区域の内外を問わず、あらかじめ定められたゾーン以外では、一定の手続きなしには開発をできない制度にするとともに、大規模施設の立地に係る用途制限を強化するなど郊外の大規模開発を抑制する。また、一定規模以上の開発案件を対象にした広域調整メカニズムを導入する。
(3)
大規模小売店舗立地法を改正し、アミューズメント施設等を含む大規模集客施設を対象とした「大規模集客施設立地法(仮称)」を制定するとともに、大規模集客施設の立地まちづくりに影響がある場合の都道府県の調整制度を導入する。

6.
中小企業並びに官公需適格組合への官公需発注の増大を!

 「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づき、毎年「中小企業者に関する国等の契約の方針」が閣議決定され、受注機会増大のための諸措置が講じられている。しかし、受注総額の減少等による競争の激化、原価を無視した極端な低価格落札等により、実質的な意味での受注機会が確保されているとは言い難い状況があるので、受注機会のさらなる確保と中小企業向け官公需発注の一層の増大が必要である。
 また、官公需適格組合は、受注体制が整備されている旨を中小企業庁が証明した組合である。国等の契約の方針にも、その積極的な活用が明記されているにもかかわらず十分に活用されていないのが実情である。
 国等は、官公需適格組合制度について周知するとともに、発注に際して官公需適格組合を積極的に活用することが必要である。