官公需適格組合活用等についての要望

06/8/2

 

平成18年7月28日

東京都財務局長
谷 川 健 次 殿

東京都都市整備局長
柿 堺   至 殿

東京都産業労働局長
佐 藤   広 殿

東京都中小企業団体中央会
会 長 大 村 功 作

官公需適格組合活用等についての要望

 平素から、中小企業振興につきましては、格別のご尽力を賜り厚くお礼申し上げます。
 東京都におかれましては、毎年「官公需についての中小企業者の受注機会の確保等について(通知)」に基づき中小企業者の受注機会の確保のための諸施策、特に事業協同組合等の活用等についてご配慮をいただいているところであります。
 しかしながら、最近の官公需の受・発注をめぐる環境は、公平・公正な調達、電子調達の推進、指定管理者制度の導入等、大きく変わってきております。
 本会は、中小企業で構成された事業協同組合等の官公需受注確保、とりわけ官公需適格組合の受注促進を支援しております。
 このたび、多くの官公需適格組合等からの意見・要望を集約し、本会としてこれを別紙のとおり要望事項としてとりまとめました。
 貴職におかれましては、最近の中小企業を取り巻く厳しい経営環境をご理解いただき、別紙の要望事項の実現方につきまして格段のご尽力をいただきますようお願い申し上げます。
 なお、全国の官公需適格組合で組織された全国官公需適格組合受注確保協議会では、平成17年6月に別紙のとおり「官公需適格組合行動憲章」を作成し、今後の自らを律する活動の指針として自助努力を決意したところでありますので、ご参考までに申し添えさせていただきます。
 ご多用中、大変恐縮に存じますが、この要望事項に対する貴職のご意見を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

 


《別紙》

1. 「平成17年度中小企業者に関する国等の契約の方針」(閣議決定)の主旨に基づき、東京都は官公需適格組合の受注実績を公表していただきたい。

 国は、「平成16年度中小企業者に関する国等の契約の方針」(平成16年7月16日閣議決定)の(3)官公需適格組合等の活用において、「(イ)特に、官公需適格組合制度については、各省庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関別の官公需適格組合受注実績を含め、発注機関に対し、当該制度の一層の周知徹底に努めるものとする。」とあり、これに基づき国は、官公需適格組合の受注の実績を公表しています。

 さらに、「平成17年度中小企業者に関する国等の契約の方針」(平成17年7月15日閣議決定)の(3)官公需適格組合等の活用において、「(イ)特に、官公需適格組合制度の発注機関別受注実績を公表するほか、各省庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関に対し、当該制度の一層の周知徹底に努めるものとする。」と、前年度より明確に表記し、官公需適格組合の受注実績を公表することとしています。

 東京都におきましても、この国の「契約の方針」の主旨に基づき、官公需適格組合の受注実績を公表していただきたい。

2. 入札時における取扱営業種目、取扱品の表記は、中小企業の実態に即した設定をして欲しい。特に、デザインについては独立した営業種目としていただきたい。
 また、物品・委託等の発注にあたっては、経済的合理性を踏まえて、今まで以上に分離・分割発注を推進していただきたい。

 デザインについては、単独で発注されていないため、入札参加出来ない状況にあります。デザイン業務の発注はありますが、具体的には、「印刷(種目番号101)」の取扱品目番号及び区分では「10 DTP・デザイン 11 印刷物の企画・編集」や「その他の業務委託(190) 08デザイン(印刷物を除く)」となっています。従って、実態としては印刷会社や広告代理店の下請けにならざるを得ないような仕組みとなっています。東京都においては、時代の変化にあわせ平成18・19・20年度分について営業種目等の追加、変更を行っていただいているところです。

 また、平成18年度東京都商工施策においても、「デザイン活用への支援」事業を積極的に展開するための予算措置も講じていただきました。

 このような観点から、デザイン活用をより促進するために、東京都発注のデザイン業務については、独立した営業種目としていただきたい。

 また、中小企業者の受注機会の増大を図るため、一括発注による発注の大型化を避け、経済的合理性、専門性を勘案し、今まで以上に分離・分割発注を推進していただきたい。

 以前より、黒板業界より分離発注の要望があり、民間特に私立学校にいては分離発注が行われています。しかし、官公需については、物品の「什器・家具」として発注され、取扱品目として黒板のみの発注が行われていないので、分離発注するようお願いしたい。

3. 東京都は、官公需適格組合の活用を区市町村に対して協力に指導・周知をしていただきたい。
 また、官公需適格組合の競争契約参加資格審査にあたっては、すべての区市町村において東京都と同様に、「総合点数の算定方法に関する特例」を活用するよう協力に指導をお願いしたい。

 官公需適格組合制度については、東京都内の区市町村においては、まだ十分な活用をされていない状況に鑑み、本会では昨年11月、23区及び26市に対して官公需適格組合活用への理解をお願いしたところでありますが、未だ改善が見られない状況にありますので、東京都として引き続き強力に指導・周知方をお願いしたい。

 また、すべての区市町村において等級順位の決定を行うにあたり、東京都と同様に官公需適格組合に対する「総合点数の算定方法に関する特例」を、活用するよう強力に指導をお願いしたい。

4. 指定管理者制度の運用にあたっては、地域中小企業者で構成された官公需適格組合を優先活用していただきたい。
 指定管理者の選定基準の制定に際しては、中小企業者に困難な選定基準を制定しないようにしていただきたい。

 指定管理者の選定にあたっては、従来から管理を行っていた自治体の外郭団体を発注先に指定しないようにするとともに、中小企業者の受注機会の確保の推進を図っていただきたい。

 特に、経営基盤が整備されている地域中小企業者で構成された官公需適格組合の優先活用をお願いしたい。

 平成18年度から本格的に導入される指定管理者制度については、中小企業者に対する同制度の周知徹底を図るとともに選定基準の設定に際しては、中小企業者にとって不利となる過大な資本金、従業員数、売上高や過去の実績等の選定基準の制定を行うことなく、地域中小企業者が多数参加できるよう配慮していただきたい。

5. 組合受注工事において配置する専任の監理技術者については、直接的かつ恒常的な雇用関係を必要としているが、官公需適格組合においては特例として組合員企業からの監理技術者の配置を認めていただきたい。特に、共同施工方式による場合は、施工担当組合員からの監理技術者の配置について認めていただきたい。

 建設業組合が官公需を受注する場合、直接的・恒常的雇用関係のある監理技術者を配置しなければならず、しかも入札申し込み時に3ヶ月以上の雇用関係がなければならないとされています。

 建設業法では、現場に有資格者を監理技術者として専任で配置することを定めており、雇用関係云々は解釈の問題であります。国土交通省においては、一定の要件を満たした親子企業グループを認定し、親子会社間での技術者の在籍出向を認めています。

 一方、組合は、組合員企業の資本力、技術力等の結合体であり、官公庁に対する審査対象事業者方式で競争入札参加資格審査を申請する場合は、理事の所属する事業者の種々の要件を合算・平均し、一事業体として評価をいただいており、工事の履行についても理事全員が連帯して責任を負うこととなっています。このように、組合と組合員は、強固な一事業体となっています。

 このようなことから、組合受注工事を担当する専任技術者については、組合と直接的かつ恒常的な雇用関係になければならないと絶対的な条件とするのでなく、組合と組合員、特に理事組合員又は審査対象事業者となっている理事組合員の技術者の組合工事現場での専任を一定の条件のもとに認めていただきたい。また、共同施工方式による場合は、組合と類似の組織形態である共同企業体(協同組合との大きな差異は、法人格の有無)と同様に、共同施工組合員よりの監理技術者の配置を認めていただきたい。

6. 物品の発注に際しては、最低制限価格を設定しダンピング防止措置を講じていただきたい。
 また、役務その他の請負業務の発注にあたっては、すべての案件に最低制限価格を設定し、過度な価格競争を無くしていただきたい。

 従来、工事に関しては最低制限価格が設けられており、平成15年4月の地方自治法施行令の改正により役務その他の請負についても最低制限価格が設定できるようになりましたが、物品については最低制限価格が設定されておりません。

 物品についても、ダンピング防止と中小企業者の受注の確保の観点から、最低制限価格の設定並びに低入札価格調査制度を導入するようにしていただきたい。特に、役務その他の請負については、ダンピング競争の激化により常識では考えられないような低価格での落札が続いているのが実状であり、適正価格での発注のための最低制限価格の設定を要望します。