官公需適格組合等の活用についての要望

平成17年4月27日

東京都産業労働局長
 関 谷 保 夫 殿
東京都財務局長
 松 澤 俊 夫 殿

東京都中小企業団体中央会
会 長 菅 谷 頼 道

官公需適格組合等の活用についての要望

 平素、中小企業振興対策につきましては、ご尽力を賜り厚くお礼申し上げます。
 中小企業者に対する官公需発注に関しましては、毎年「官公需についての中小企業者の受注機会の確保等について(通知)」により中小企業者の受注機会の確保のための諸措置、特に事業協同組合等の活用についてはご配慮をいただいております。
 しかしながら、官公需を巡る状況は、従来の諸施策に加え、電子調達の推進、指定管理者制度の本格的導入による発注方法の変更等、今後大きく変化することが予想されます。
 本会では、中小企業者で構成された事業協同組合等の受注確保のための支援事業、とりわけ官公需適格組合の受注促進を支援致しております。
 このたび、多くの官公需適格組合等からの要請を受け、これを別紙のとおり要望事項としてとりまとめました。
 中小企業を取り巻く厳しい経営環境をご理解いただき、貴職におかれましては、別紙の要望事項の実現方について格段のご尽力をいただきますようお願い申し上げます。
 なお、大変恐縮に存じますが、この要望に対するご意見を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

(別紙)

官公需適格組合の活用についての要望

平成17年4月27日

東京都中小企業団体中央会

1. 東京都は、中小企業の振興・育成の観点から、東京都の独自色を強く打ち出した官公需施策を実施し、国をリードしていただきたい。

 従来、東京都は国の施策に加え独自の中小企業施策を展開し、特に官公需適格組合については全国に先駆けて優先的活用を実施、中小企業への優先発注をして頂いておりました。ところが、昨今は、「公共工事の入札の適正化に関する法律」を始めとした法律の施行等により国と同一基準での対応が多くなってきています。従前にも増した東京都の独自色を全面に打ち出した、官公需発注を行っていただきたい。

2. 指定管理者制度における、指定管理者の選定基準の制定に際しては、中小企業者に不利とならないようにしていただきたい。また、地元中小企業者で構成された官公需適格組合を優先活用していただきたい。

 平成18年度から本格的に実施される指定管理者制度については、中小企業者に対する同制度の周知徹底を図るとともに選定基準の制定に際しては、中小企業者にとって不利となる過大な資本金、売上高や従業員数等の選定基準の制定を行うことなく、地元中小企業者が多数参加できるよう配慮していただきたい。
 また、経営基盤が整備されている地元中小企業者で構成された官公需適格組合の優先活用をお願いしたい。

3. 現在、東京都と区市町村の間で「電子自治体共同運営」による電子申請、電子調達が推進されておりますが、中小企業者の負担増、不利とならないよう安価で高品質なサービスを受けることができるよう特段の配慮をお願いしたい。また、官公需適格組合の競争契約参加資格審査にあたっては、すべての区市町村においても東京都と同様に、「総合点数の算定方法に関する特例」を活用するよう強力に指導をお願いしたい。

 東京都と区市町村間の共同運営電子調達サービスの開始は、一度で複数自治体に資格審査登録が可能となり、入札参加審査申請時における事務負担の軽減をはかるものと期待をしておりますが、コンピュータの取り扱いに不慣れな中小企業者にとって不利・負担とならないよう特段の配慮をお願いしたい。
 また、区市町村において独自の格付けを行うにあたり、東京都と同様に官公需適格組合に対する「総合点数の算定方法に関する特例」を、すべての自治体が活用するよう強力に指導をお願いしたい。

4. 国や東京都では、建設業の官公需適格組合にあっては、監理技術者の直接的・恒常的な雇用関係を必要としているが、官公需適格組合においては特例として組合員企業からの監理技術者の在籍出向を認めていただきたい。特に、共同施工方式による場合は、施工担当組合員からの監理技術者の配置について認めていただきたい。これらについては、東京都が国に先駆けて採用していただきたい。

 建設業組合が官公需を受注する場合、直接的・恒常的雇用関係のある監理技術者を配置しなければならず、しかも入札申し込み時に3ヶ月以上の雇用関係がなければならないとされております。
 過去においては、施工担当組合員よりの監理技術者の在籍出向が認められておりましたが、平成13年4月以降は認められなくなりました。しかし、国土交通省においては、一定の要件を満たした親子企業グループを認定し、親子会社間での技術者の在籍出向を認めております。このようなことから、東京都にあっても組合と組合員企業間の技術者の在籍出向を一定の条件のもとに認めていただきたい。
 また、共同施工方式による場合は、協同組合と類似の組織形態である共同企業体(協同組合との大きな差異は、法人格の有無)と同様に共同施工組合員よりの監理技術者の配置を認めていただきたい。

5. 物品役務の発注に際しては、最低制限価格を設定しダンピング防止措置を講じていただきたい。特に、印刷物の発注形態については「物品購入契約制度」から「製造請負契約制度」に変更し、最低制限価格を設定していただきたい。
 また、物品等の発注にあたっては、経済合理性を踏まえて、分離分割発注を今まで以上に推進していただきたい。

 従来より、工事に関しては最低制限価格が設けられており、平成15年4月の地方自治法施行令の改正により役務その他の請負についても最低制限価格が設定できるようになりました。
 物品についても、ダンピング防止と中小企業者の受注の確保の観点から、最低制限価格の設定及び低入札価格調査制度が採用できるようにしていただきたい。
 特に、印刷物発注については、ダンピング競争の激化により常識では考えられないような低価格での落札が続いているのが現状であり、適正価格での発注のための最低制限価格の設定を要望します。また、これについては法律改正等が必要なことから、とりあえず現行制度の運用として、発注方法を「物品購入契約制度」から「製造請負契約制度」に変更していただきたい。
 また、物品として発注される黒板については、業界団体より分離分割発注の強い要望が出されていますので、是非ご配慮いただきたい。