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平成16年度中小企業者に関する国等の契約の方針

平成16年7月16日
閣 議 決 定


 国は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律第4条第2項に基づき、平成16年度における中小企業者に関する国等の契約の方針(以下「国等の契約の方針」という。)を次のとおり定める。国等は、国等の契約の締結に当たっては、予算の適正な使用に留意し、世界貿易機関政府調達協定及び政府調達に関する我が国の各種行動計画との整合性を確保しつつ、中小企業者を取り巻く厳しい情勢を踏まえ、中小企業基本法第3条に掲げる理念に則り、中小企業の経営基盤の強化を図るため、国等の契約の方針に基づき、中小企業者の受注の機会の増大のための措置を講ずるものとする。その運用に際しては、国等の調達する物品等(工事及び役務を含む。以下同じ。)の受注を確保しようとする中小企業者の自主的な努力を助長し、公正な競争が行われるよう配慮するものとする。
なお、消費税及び地方消費税については、その適正な転嫁を受け入れるものとする。
また、国は、地方公共団体に対し、国等の契約の方針を参考として、地域の実情に応じ必要な場合には中小企業者に関する契約の方針を策定する等中小企業者の受注機会の増大のための措置を講じ、適切な運用が図られるよう要請する。

1 中小企業者の受注機会の増大のための措置
 国等は、前年度までの中小企業者に関する国等の契約の方針に定められた措置について一層の徹底を図るものとし、平成16年度においては、次の措置を強力に推進するものとする。

(1) 情報提供の促進
 国等は、中小企業者の受注の機会の増大を図る観点から、透明性の向上と公正な競争の確保に留意しつつ、情報提供の促進のため、次の措置を講ずるものとする。
(ア) 国等は、中小企業者向け契約の実績金額及び目標金額について、各省各庁等別の情報提供を行うものとする。

(イ) 国等は、上記に加え、中小企業者向け契約の実績金額について、物件、工事及び役務の別に詳細に情報提供を行うものとする。

(ウ) 国等は、競争促進に資する新たな指標として、入札件数等の情報提供に努めるものとする。

(2) 中小企業官公需特定品目等の発注情報等の提供及び受注機会の増大
(ア) 国等は、中小企業官公需特定品目(織物、外衣・下着類、その他の繊維製品、家具、機械すき和紙、印刷、潤滑油、事務用品、台所・食卓用品及び再生プラスチック製製品)に関する発注計画を作成し、当該発注計画に関する情報を中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するものとする。

(イ) 国等は、発注計画に関する情報の提供を行った特定品目のうち、落札価格等契約結果に関する情報の提供が中小企業者の受注機会の増大のため効果的であると認められるものを、適切な方法により、中小企業者の参考に資するよう、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するものとする。

(ウ) 国等は、中小企業官公需特定品目の発注を行うに際し、法令の規定に基づく随意契約制度の活用等により中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。

(エ) 国等は、特定品目以外の物品、工事及び役務であって政府調達協定等に基づき官報掲載されるものを除く一般競争の発注に関連する情報並びに工事であって公募型の指名競争の発注に関連する情報を中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するよう努めるものとする。

(オ) 国等は、工事であって政府調達協定等に基づき官報掲載されるものを除く一般競争及び公募型指名競争の発注に関連する情報提供を行ったもののうち、落札結果等に関する情報の提供が中小企業者の受注機会の増大のため効果的であると認められるものを、適切な方法により、中小企業者の参考に資するよう、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するよう努めるものとする。

(3) 官公需適格組合等の活用
(ア) 国等は、法令の規定に基づく随意契約制度の活用等により、中小企業庁が証明した官公需適格組合を始めとする事業協同組合等の受注機会の増大を図るものとする。
 また、官公需適格組合の競争契約参加資格審査に当たっては、総合点数の算定方法に関する特例の一層の活用に努めるものとする。

(イ) 特に、官公需適格組合制度については、各省各庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関別の官公需適格組合の発注実績を含め、発注機関に対し、当該制度の一層の周知徹底に努めるものとする。

(4) 指名競争契約等における受注機会の増大
(ア) 国等は、指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保すること等により、中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。また、一般競争の場合についても同様の配慮を払うものとする。
 なお、資格等級に対応する契約の予定金額については、価格水準の変動等をも勘案しつつ、適時見直しを行う等一層の適正化を図るとともにこれを公表するものとする。

(イ) 特に、中小工事等に係る発注及び中小企業官公需特定品目に係る発注に当たっては、できる限り中小企業者を指名するなど、特段の配慮を払うものとする。

(ウ) 少額の契約案件にあっては、法令の規定に基づく随意契約制度の活用により、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。

(5) 中小企業者への説明の徹底
 国等は、物品等の発注を行うに際しては、中小企業者の入札等が円滑に行われるよう、性能、規格等必要な事項について十分説明に努めるものとする。

(6) 銘柄指定の廃止
 国等は、物品等の発注に当たっては、真にやむを得ないと認められる場合を除き、直接の銘柄指定はもとより原材料等の間接の銘柄指定等を行わないものとする。

(7) 分離・分割発注の推進
(ア) 国等は、物品等の発注に当たっては、政府調達協定等との整合性の確保に特段の配慮をしつつ、価格面、数量面、工程面等からみて分離・分割して発注することが適切であるかどうかを十分検討し、可能な限り分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。
 なお、公共工事においては、公共事業の効率的執行を通じたコスト縮減を図る観点から適切な発注ロットの設定が要請されているところであり、かかる要請を前提として分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。

(イ) 国等は、分割発注が、公正性・経済合理性に反する形で恣意的に実施されることを回避するため、経済合理性を満たしつつ、中小企業者の受注機会の増大を目的として分割発注を実施した場合には、当該分割発注に係る理由を公表するものとする。また、国は、地方公共団体においても同様の取組が実現されるよう要請する。

(ウ) 国等は、中小企業庁が取りまとめる効率的な分離・分割発注に係る事例を参考として活用するとともに、分野に応じて、部内の人材育成又は外部人材の活用等により、発注能力の向上等体制整備に努めるものとする。

(8) 計画的発注の推進及び労働時間短縮への配慮
 国等は、物品等の発注に当たっては、可能な限り、計画的な発注を行うとともに、法定労働時間の週40時間制の実施、中小企業者の週休2日制等の動きを踏まえ、適正な納期、工期の設定に配慮するものとする。

(9) 適正価格による発注
 国等は、中小企業者に対する物品等の発注に当たっては、需給の状況、原材料価格の実情、消費税及び地方消費税の負担等を勘案し、適正な価格での発注に配慮するものとする。

(10) 地方支分部局等における地元中小企業者等の活用
 国等は、地方支分部局等の契約の限度額について、適時見直しを行い所要の引上げを図るとともに、地方支分部局等において消費される物品等については、極力地方支分部局等における調達を促進することにより、地元中小企業者等の受注機会の増大を図るものとする。

(11) 中小建設業者に対する配慮
 国等は、上記に掲げるもののほか、中小建設業者を取り巻く現下の諸情勢にかんがみ、中小工事の早期発注等により中小建設業者に対し特段の配慮を払い、その受注機会の増大に努めるものとする。
 また、指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保することとするが、優良な工事成績を上げた中小建設業者に対しては、施行能力等を勘案し、上位の等級に属する工事に係る競争に参加できるようにする等積極的に受注機会の確保に努めるものとする。
 特に公共工事に関する発注に当たっては、共同による請負の一層の活用等により、中小建設業者に対する受注機会の増大に努めるものとする。
 また、地元建設業者、専門工事業者等の中小建設業者を活用することにより円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については、極力分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。

(12) 技術力のある中小企業者に対する受注機会の増大
 国等は、技術力のある中小企業者の受注機会(公共事業を除く。)の拡大を図るため、次の措置を講ずるものとする。

(ア) 国等は、政府調達(公共事業を除く。)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について」に基づく入札参加機会の拡大措置について、これまでの実施状況を取りまとめて公表し、これを踏まえて当該拡大措置の一層の活用に努めるものとする。

(イ) 国等は、技術力の正当な評価を踏まえ、技術力のある中小企業者に関する入札参加資格の弾力化等の措置を一層進めるよう努めるものとする。

(13) 新規開業者に対する受注機会の増大に向けての措置
 国等は、新市場、新産業の創出・育成による雇用創出の重要性にかんがみ、新規開業中小企業者の受注機会(公共工事を除く。)の増大を図るよう特段の配慮に努めるものとする。
  国等は、新規事業者の入札機会を拡大するために、物品の製造・販売等に係る入札参加資格のあり方の検討を行うものとする。

(14) 調達手続に関する簡素・合理化
(ア) 国等は、競争契約参加資格者の審査について、申請書類の統一化及び申請手続の簡素化等を一層推進するものとする。

(イ) 国等は、国における競争契約参加資格審査申請手続の電子化の実施状況及び入札・開札手続の電子化の導入状況等を踏まえ、中小企業者の円滑な対応に留意しつつ、電子的手段の導入に努めるものとする。

(15) 中小企業者の自主的努力の助長
(ア) 国等は、中小企業者の自主的努力を助長するため、官公需に関する情報を、実情に即して電子的手段により提供するよう努めるものとする。
 特に国等の発注情報の提供については、中小企業団体中央会の協力を得て、中小企業庁を通じて発信される電子メール等電子的手段を活用し、中小企業者へ直接提供するよう努めるものとする。
 また、競争契約参加資格申請の情報については、官報、掲示等によるほか、中小企業団体中央会等を通じて広く中小企業者に提供するよう努めるものとする。

(イ) 国等は、官公需の受注に意欲的な中小企業者の受注能力の向上に資するよう、中小企業者の相談に応じ、資格登録、入札に関する手続等について情報を提供する等必要な指導に努めるものとする。
 このため、特に、契約担当官等(公団等においてはこれに準ずる役職)を置いている部局ごとに官公需相談担当者を明確にし、「官公需相談窓を常設するほか、国等の主要発注機関一覧及び官公需施策の概要の活用等により、中小企業者からの相談が円滑に行われるよう努めるものとする。

(ウ) 国等は、中小企業者の創業を支援するため、国等の支援策を利用する等研究開発に意欲的な中小企業者の研究成果に関する情報の周知を図る等により、中小企業者の自主的努力を助長するよう努めるものとする。

(エ) 国等は、中小企業者が売掛債権を担保とした資金調達を通じて新たな受注機会の確保を図ることができるよう、売掛債権の譲渡禁止特約の解除等の措置を通じ、売掛債権担保融資保証制度、下請セーフティネット債務保証事業等の利用の促進に努めるものとする。

(オ) 国等は、中小企業者の活力の再生支援に資するため、中小企業庁において取りまとめる発注機関所在情報等を、中小企業再生支援協議会、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するよう努めるものとする。

(16) 阪神・淡路大震災の被災地域の中小企業者に対する配慮
 国等は、阪神・淡路大震災の被災地域の中小企業者に対して特段の配慮を払い、その受注機会の増大に努めるものとする。

2 中小企業者向け契約目標
 国等は、上記1に掲げる措置を講ずること等により、平成16年度における国等の契約のうち、中小企業者向け契約の金額が、約4兆5,023億円となるよう努めるものとする。
 この金額は、国については約2兆3,104億円、公団等については約2兆1,919億円とする。


3 官公需に係る施策の推進
(1) 国等は、本方針について、中小企業者向け契約目標の設定に係る透明性を確保するとともに、一層の普及及び徹底を図るものとする。また、国等の地方支分部局等は、官公需確保対策地方推進協議会の運営等により、地方の実情に即して、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。

(2) 各省各庁等は、上記1の各種施策の実施状況を充分に踏まえ、上記1の諸項目に関する措置状況を中小企業庁あて通知するなど、中小企業庁と密接な連絡を取るとともに、本方針の進行について地方支分部局等を指導する等適切な管理を行い、本方針の実施について遺憾のないよう努めるものとする。中小企業庁は各省各庁等から通知された措置状況について取りまとめ、その情報の提供を行うものとする。

(3) 国は、地方公共団体に対し、中小企業者の受注機会の増大のための措置を講ずるよう要請しているところであるが、その実施に際しては、公共工事の効率的執行の確保に留意し、行き過ぎた施策をとらないよう要請する。


(別表) 中小企業者向け契約実績、契約目標(各省各庁等別内訳)pdf書類

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