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情報連絡員報告会(平成19年度下期)開催される
〜製造業、非製造業ともにすべての調査項目が悪化〜

08/3/21

 東京都中央会は3月17日(月)、東京都中小企業会館9階講堂で「平成19年度下期情報連絡員報告会」を開催致しました。(出席者;110名)

 本報告会は、都内の様々な業種・形態の組合に在籍する「情報連絡員」(150名;製造業65名、非製造業85名)により毎月提出される「情報連絡票」から、半年毎にその期における業界・中小企業の景況の「主な動き」、「特記事項」、「要請事項」等を取りまとめたうえで、状況報告を行い、今後の情報活動の一助とするものです。

 なお、月次報告の概要については、本会機関誌《月刊・中小企業だより》に掲載しているほか、ホームページ・「調査集計情報」のなかでも報告していますので、ぜひご覧下さい。



 まず、来賓として出席された東京都産業労働局商工部調整課課長補佐・五十嵐 渉氏からのご挨拶の後、本会副会長柿沼伸二から開会の挨拶を兼ねて「最近の中小企業・組合を取り巻く経済状況」について短いコメントがありました。
 今回の報告会はまず開会に先立ち、(財)東京都中小企業振興公社の施策普及説明会が行われました。同公社は、中小企業支援の中核を担うため、東京都により設立された公益法人で、中小企業経営の基盤強化に向けたさまざまなサポートを行っています。中小企業・組合にとっても積極的に活用し、事業の活性化を図っていきたい重要な機関と思われます。この公社の豊富な支援メニューについて、同公社総合支援部長小谷寛治氏から30分にわたって説明が行われました。

 引き続き、議案の説明に入り、情報課主幹大知里義信は、別冊で配布した「情報連絡票のまとめ」及び「要約」により、今期(19年8月〜20年1月)の『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『収益状況』『取引条件』『設備操業度(製造業のみ)』『資金繰り』『雇用人員』等のDI値の動向、期中の総合的な動きなどを説明し、質疑応答の後閉会しました。



今期景況の要約

 今期の都内中小企業の景況を情報連絡員の報告から見ると、半年間の期間平均の数値(前年同期比)は、前期と比較して製造業、非製造業ともに調査項目すべて(製造業は9項目、非製造業は8項目)が悪化という結果になった。
 前期から続く原油高騰による原材料価格の上昇、また、コスト上昇分の価格転嫁が実現しにくい現状が収益をさらに圧迫。また、昨年6月に改正された建築基準法による審査の厳格化、着工許可の遅れ等の影響が多くの業種に波及し、「業界の景況」、「売上高」、「収益状況」の期間平均数値は製造業、非製造業ともに総じて10ポイント以上悪化した。(製造業の売上高と収益状況は21ポイント、非製造業の売上高は13ポイント、収益状況は15ポイント悪化)。前期はプラスだった製造業の「雇用人員」も10ポイント悪化し、マイナスに転じた。
 その他、特記事項からは改正された建築基準法の影響に関する報告(「工事発注が遅れ、急激な出荷減」、「確認申請の厳格化の影響で仕事が停滞」、「審査の遅れで建材需要に影響」等)が多数よせられた。また、本年1月に発覚した古紙混入率の偽装の影響を懸念する報告もよせられた。

 《各月の特記事項及び動き》

8月

今月は梅雨空が続き、日照時間も記録的に短く、帽子販売は完敗。組合員は元気がない。(帽子製造業)

原油値上りによるプラスチック原材料の価格上昇が収益を圧迫。大手企業の海外生産が増えて、少量の国内生産品は厳しい条件をつけられ、価格転嫁は認められない現状。(プラスチック製造業)

9月

改正建築基準法の施行以降、建築確認手続きの大幅停滞により、工事発注が遅れ、急激な出荷減を招いている。(コンクリート製造業)

建築基準法の改正の影響で建売物件の仕事の遅れが目立つ。組合員の業況も全体的に前月より下降線をたどっている。(木材小売業)

改正建築基準法が改正されたが、国土交通省のガイドラインが明確でないために7月の建築申請が前年同月比マイナス23%となっている。(建設用金属製品製造業)

10月

製品値上げが原料価格の上昇に追いつかない状況、価格はさらに上昇することが予想される。建築資材分野では改正建築基準法(確認申請の厳格化)の影響で物件受注が停滞している。(塗料製造業)

建築基準法の改正による建築確認申請手続きの遅れの影響がでており、受注量は確保されているものの、納期に不透明感がでている。今後、納期が短期に集中することがないか、心配される。(配電盤機器製造業)

建築基準法の改正による建築確認の遅れで、新設着工件数は減少している。(管工事業)

11月

建築基準法改正の影響で建築着工率が大幅低下、それに伴い生コン需要が落ち込み、骨材需要も減少している。また、ダンプの燃料費高騰も深刻である。(砕石業)

改正建築基準法の関係で許可がおりず、稼働率が100%を割り、停滞し始めた。これに連動して受注単価が値下り傾向に転じている。このまま、年内の工事量が増えなければ非常に厳しい状況になる。(ガス圧接業)

サブプライム問題や原油価格の高騰による生活必需品の値上り等で景況感に再び閉塞感がでてきているようだ。業界の景況は店売りが低調で、ネット販売や外売り等に活路をみいだしている。(古書籍小売業)

12月

工事用電線の動きが鈍く、重苦しい市場となっている。住宅着工件数がじりじりと減っているうえに、建築物件の着工許可の遅れが響いている。(電線卸売業)

中国製玩具の鉛問題の影響で、クリスマスプレゼントにおもちゃを敬遠する傾向がみられ、玩具の総売上高は前年比80%前後にとどまった。(玩具卸売業)

建築確認申請許可の遅れが改善されず、工事量の減少が著しい。(鉄筋業)

1月

確実に仕事量は減少し、経営は悪化している。昨年12月までは何とか乗り切ってきたが、建築基準法の改正による確認申請遅延の影響が住宅着工件数の減少を如実に表している。(建具製造業)

先月、発生した製紙メーカーによる古紙混入率偽装問題が印刷需要に影響しないか、心配される。(印刷業)

2次加工メーカーである組合員は、偽装された再生紙を原材料とした品目を生産中止とした。そのため、流通在庫品への対応に追われている状況。(紙製品製造業)

古紙配合率の問題で売上は伸び悩み。(洋紙卸売業)

 《各月の「要望事項」のうち主なもの》

8月

原材料等の価格上昇傾向を一日も早く、食い止めてほしい。(帆布製品製造業)

回収業者が生活できる価格で、しかも国内で資源が循環できるよう、再生資源ユーザーの経営努力と行政庁の適切な指導をお願いしたい。(再生資源回収業)

9月

中小企業の景況悪化は、すでに調整段階を過ぎている。消費購買力を高める政策をのぞむ。(古書籍小売業)

10月

建築基準法改正問題への早急な対応をお願いしたい。(建設用金属製品製造業)

大手や中堅の量産豆腐が閉店間際のスーパーに山積みされている。過剰生産を中止して、限りある資源を大切にしてほしい。(豆腐小売業)

11月

建築基準法改正による着工件数の減少が業界へ大きな影響を及ぼしている。異常な状況を打破するための施策を講じてほしい。(電設資材卸売業)

12月

建設リサイクルの推進、再生材の使用に異論はないが、安全性を優先すべき場所(水源地近隣、公園等)では再生材の使用を控え、安全性がより確保できる新材を優先的に使用すべき。(砕石業)

中小加工業の技術・技能を保全するための振興策を強く要望する。ものづくりの基盤が失われつつある。(電気めっき業)

1月

燃料価格の高騰・高止まりに対して何らかの政策をうってほしい。(貨物自動車運送業)


東京都中央会 情報課
TEL; 03−3542−0389(直通)
FAX; 03−3545−2190

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