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情報連絡員報告会(平成18年度下期)開催される
〜都内中小企業に「いざなぎ超え」の実感はなく、年末商戦は苦戦〜

07/3/29

 東京都中央会は3月23日(金)、東京都中小企業会館9階講堂で「平成18年度下期情報連絡員報告会」を開催致しました。(出席者;110名)

 本報告会は、都内の様々な業種・形態の組合に在籍する「情報連絡員」(150名;製造業65名、非製造業85名)により毎月提出される「情報連絡票」から、半年毎にその期における業界・中小企業の景況の「主な動き」、「特記事項」、「要請事項」等を取りまとめたうえで、状況報告を行い、今後の情報活動の一助とするものです。

なお、月次報告の概要については、本会機関誌《旬刊・中小企業だより》の毎月25日号に掲載しているほか、ホームページ・「調査集計情報」のなかでも報告していますので、ぜひご覧下さい。


 今回の報告会は、まず開会に先立ち、事務局から4月1日に施行を控えた「改正組合法等」の施行に至るまでの経緯、中央会としての取り組み、そして今後の対応策などの報告のあと、挨拶を兼ねて本会副会長柿沼伸二から、「最近の中小企業・組合を取り巻く経済状況の一端」が述べられました。
 「マクロ面では景気は上向き、大企業は史上最高益を記録、有効求人倍率が1を超えるなど、いざなぎ景気を超える成長が続いている。しかし、業種間・企業間での明らかな格差が生じていることが懸念される。
また、バブル期の『三つの過剰』が解消され、国内の景気回復を牽引しているのは、設備投資と輸出であり、国外に流出していた生産施設が国内へ回帰する傾向も見られる。
 さらに、情報技術の発達による経済のグローバル化にともない、人件費や会計基準の面等で中小企業にも世界標準を要求している。大企業はネットを利用して外注先を世界から探している。その結果、国内中小企業はコストダウンを要請され、受注はあるが、利益に結びつかない『利益なき繁忙』状態にある。
 これらの要因もあり、中小企業は大企業と異なり景気回復を実感するにはほど遠い状況にあるのが実態であり、近年、増加する中国の需要が招いた原油の高騰、それによる原材料価格の上昇が中小企業に大きな影響を与え、減収減益状態が続いている。その結果として、サラリーマンの可処分所得が増加せず、中小企業の景況に大きな影響を与える国内消費が伸び悩む原因となっている。
 本会では、中小企業活性化の有効な施策を実施していくため、情報連絡員からの報告は、中小企業の現状を把握するための重要な資料として活用している。今後も更なるご協力をお願いします」と締め括りました。

 ご来賓として出席された東京都産業労働局商工部調整課係長五十嵐渉氏は、「情報連絡員制度は、都の中小企業連携組織対策事業の一環として大層貴重で重要な情報入手手段として、今後も継続して実施していく予定だ。特に毎月提出される連絡票の特記事項欄は、単なる数値では計り知れない中小企業の具体的な問題点などを把握するため、大変有効なものであり、都の施策に反映できるよう活用している」と挨拶されました。

 引き続き、情報課主幹大知里義信は、別冊で配布した「情報連絡票のまとめ」及び「要約」により、今期(18年8月〜19年1月)の『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『収益状況』『取引条件』『設備操業度(製造業のみ)』『資金繰り』『雇用人員』のDI値の動向、期中の総合的な動きなどを説明し、質疑応答の後閉会となりました。



今期景況の要約

 今期景況の要約として、半年間の期間平均の数値(前年同期比)は、前期と比較して製造業では調査項目の9項目中、4項目が好転、5項目で悪化。非製造業では調査項目の8項目中、2項目が好転、6項目で悪化という結果となった。

 戦後最長の景気拡大から期待された年末商戦であったが、暖冬やノロウィルスの影響により、製造業・非製造業ともに苦戦を強いられ、12月の業界の景況DI値は大幅に悪化した。また、原油の高騰は今期の後半に落ち着きが見られたが、かえって今までのコストアップ分を価格転嫁することが困難になり、中小企業の経営を圧迫している。
 「特記事項」からは、「いざなぎ景気を超えたというが、中小企業にとっては実感がない」、「いざなぎ景気を超える好景気とのことだが、国民の懐は厳しい」、「史上最長の好景気といわれても、一向にその実感がわかない」といった景気の回復を実感できない中小企業の声が報告された。また、前期に引き続き、18年6月からの駐車場違反取り締まり強化の改善を求める要望があった。

  今期中に寄せられた「特記事項」のうち主なもの。

天候不順により夏物商品が苦戦。デジタル関連商品は価格低下が著しく、販売価格の下落にともない、収益面に影響している。(商店街:秋葉原・8月)

売上は上昇しているが、生産量・出荷量は減少している。最近、業界の設備投資が大幅に減り始めた。中小企業では景気回復の実感はほとんどない。(ゴム製品製造業・9月)

駐車違反の取締りで商店街の荷さばきが問題となり、商業活動が大変阻害されている。また来客者数も減少した。近隣の駐車場や運送業者は値上げをするなど、経済の活性化を阻害し、中小企業の経営を圧迫している。(商店街:赤坂一ツ木・9月)

若干の値上げにより売上高は増えたが、量がでないので収益は苦しい。景気回復基調にあるとは到底思えない状況。(塗料製造業・10月)

前年と比較して、増加傾向になっていない。いざなぎ景気を超えたというが、中小企業にとっては実感がない。(鋳物製造業・11月)

温暖な気候のために大型野菜がとれすぎて、白菜やキャベツ、大根等が廃棄処分された。(野菜・果実小売業・11月)

暖冬とノロウイルス発生により、生鮮食品の売上は大きく減少した。(食肉卸売業・12月)

期待された年末商戦も電子ゲームを除いて、軒並み前年を下回り、苦戦をしいられる結果となった。(玩具卸売業・12月)

原料高は一段落したが、得意先への値上げ交渉も困難となった。これまでのコストアップを吸収できない状況にある。(ゴム製品製造業・1月)

 「要望事項」の主なもの。

駐車違反取締りの緩和(時間の見直し、二輪自動車用駐車場の増設等)を要望する。(製造業)

廃棄事業所への助成措置を講じてほしい。(製造業)

多発する「万引き」対策への支援を。(非製造業)

豊作の年は処分費用を補助するのではなく、野菜の消費宣伝活動をしてほしい。(非製造業)


■ 本件に関するお問い合わせは、下記あてにお願いします。

東京都中央会 情報課
TEL; 03−3542−0389(直通)
FAX; 03−3545−2190

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