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情報連絡員報告会(平成19年度上期)開催される
〜業界の景況DI・売上高DI・収益状況DIの期間平均数値は全て悪化〜

07/10/5

 東京都中央会は9月12日(水)、東京都中小企業会館9階講堂で「平成19年度上期情報連絡員報告会」を開催致しました。(出席者;109名)
 本報告会は、都内の様々な業種・形態の組合に在籍する「情報連絡員」(150名;製造業65名、非製造業85名)により毎月提出される「情報連絡票」から、半年毎にその期における業界・中小企業の景況の「主な動き」、「特記事項」、「要請事項」等を取りまとめたうえで、状況報告を行い、今後の情報活動の一助とするものです。

 なお、月次報告の概要については、本会機関誌《旬刊・中小企業だより》の毎月25日号に掲載しているほか、ホームページ・「調査集計情報」のなかでも報告していますので、ぜひご覧下さい。


会議の様子

 今回の報告会はまず開会に先立ち、初めての試みとして、東京都の施策普及説明会が行われました。東京都では、昨年の暮れに「10年後の東京〜東京が変わる」を策定し、更にこれを産業振興の分野から示した「東京都産業振興基本戦略」を本年3月に策定しました。中小企業・組合にとっても重要な施策であるため、この機会に東京都の担当の方からご説明願おうと会合を設けた次第です。
 ご説明は、「東京都産業振興基本戦略〜産業活力と都市の魅力で東京の未来を切り拓く〜」と題し、東京都産業労働局総務部政策企画課副参事・浦崎秀行氏を講師に迎え、30分程度の簡潔なお話をいただきました。
続いて報告会に移り、来賓として出席された東京都産業労働局商工部調整課課長補佐・五十嵐 渉氏からのご挨拶の後、本会副会長柿沼伸二から開会の挨拶を兼ねて「最近の中小企業・組合を取り巻く経済状況」について短いコメントがありました。

 引き続き、議案の説明に入り、情報課主幹大知里義信は、別冊で配布した「情報連絡票のまとめ」及び「要約」により、今期(19年2月〜19年7月)の『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『収益状況』『取引条件』『設備操業度(製造業のみ)』『資金繰り』『雇用人員』等のDI値の動向、期中の総合的な動きなどを説明し、質疑応答の後閉会しました。

会議の様子

今期景況の要約

 今期の都内中小企業の景況を情報連絡員の報告からみると、半年間の期間平均の数値(前年同期比)は、前期と比較して製造業では調査項目の9項目中、雇用人員以外の8項目が悪化。非製造業では調査項目の8項目中、4項目が好転、4項目が悪化という結果となった。

 今期前半はプラスだった製造業の売上高DIは4月に悪化し、マイナスに転じた。その後も悪化を続け、6月、7月には大幅に悪化、前期はプラスだった期間平均の数値はマイナスに転じた。また、前期の後半には落ち着きが見られた原油高騰の影響が再び強まったのか、今期後半には製造業・非製造業ともに収益状況DIが大幅に悪化した。その結果、業界の景況DI・売上高DI・収益状況DIの今期の期間平均数値は製造業・非製造業ともに全て悪化となった。
 その他、特記事項からは、今期後半に多くの業種から「労務不足が深刻化」「運転手が人材不足」「不況時の人員整理の影響で人材不足」等人手不足に関する報告が寄せられた。また、4月からの組合制度改正に関して、決算手続きが困難になったとの意見が多数寄せられた。

《今期中に寄せられた「特記事項」のうち主なもの》


2月

記録的な暖冬の影響で冬物商戦は完敗。早めに春物に切り替えた企業は正解といえる。今年こそは平年並みの気候を期待する。(帽子製造業)

暖冬で鍋物も食卓に出番がなく、豆腐等の売れ行き不振である。大手量産豆腐の市場シェア競争が激しく安売りが続いている。(豆腐小売業)

3月

暖冬の影響で重衣料(コート)を中心としたニット製品の売り上げが減少した。セーター等売り上げが増加した品物もあるが、全体としては厳しい年度末となった。(織物卸売業)

原油価格の乱高下、石油製品の需給の乱れ等から末端市場では価格競争が激化し、そのことが極端な収益低下、大手資本との格差を招き、本年度も90を超えるガソリンスタンドが廃業し、都内のスタンドはピーク時の6割が姿を消した。(石油小売業)               

4月

4月後半になり非鉄金属が再び高騰し、利益なき繁忙状態が続いている。(鋳物製造業)

売上げ等、昨年同様堅調に推移しているが、ここに来て銅製品をはじめとする素材の値上がりがみられ、採算圧迫の原因にもなっており、先行きに若干の不安がある。(配電盤機器製造業)

5月

原材料価格(銅・ステンレス)の上昇が止まらず、一方で価格転嫁が進まないことから収益圧迫気味。企業間でのバラツキがあるが、景気上昇を反映してか、人手不足感も。(配電盤機器製造業)

連休明けから本格的に現場が稼働し始めたが、それに伴い労務不足が深刻化しつつある。若年層の業界離れ、他業種への流出があり、このままでは8月のピーク時に納期遅れが発生する可能性が大きい。(ガス圧接業)

3月からの原油価格の大幅な値上がりを受け、石油化学大手は包装材や汎用樹脂を値上げする方針を決めた。浸透すれば昨年11月以来半年ぶりの値上げとなり、相当のダメージが心配される。(包装材料小売業)

最近、運転手の人材不足が問題となっている。物流業界の景気回復の影響か。(廃棄物収集運搬業)

これから盛夏にかけて、鉄筋工の不足状態が厳しくなる。建設現場では工期不足が深刻化している。(鉄筋加工組立業)

先行きの見通しが良い反面、不況時の影響として設備と人材の整理により機材と人材が供給限度となり、不足になり出している。(基礎工事業)

6月

好転の兆しがみえるが、単価が上がらずに苦戦している。その結果、労務が確保できず、非常に不安定な状態にある。夏場にかけて稼働率上昇の傾向にあるが、不安定な要素はぬぐいきれない。(ガス圧接業)

荷動きに低調化の傾向が見られる。燃料費アップや運転手の確保が難しいことなどの経営上の問題が深刻化している。組合員の倒産や脱退が多くなっている。(貨物自動車運送業)

7月

原油値上がりによるプラスチック原材料の価格値上がりが収益を圧迫。大手企業の海外生産が増えて、少量の国内生産品は厳しい条件をつけられて、価格転嫁は認められない現状。(プラスチック製造業)

ステンレス・アルミ等の原材料の大幅値上げによる収益率の低下が続いている。また、長引く梅雨の影響で夏場品(網戸)が不調。(建築用金属製品製造業)

7月は日照不足の影響で、きゅうり・なす・ネギ・キャベツ・ほうれん草・小松菜が異常に高騰した。(野菜・果実小売業)


《今期中に寄せられた「要望事項」のうち主なもの》


2月

組合制度の改正により、事業年度終了後2ヶ月以内の通常総会の招集は困難だ。これに対応する定款の変更等はどうしたらいいのか。(帽子製造業)

改正された組合制度だが、決算事務については法律どおりにはできず、対処方法が見つからない。各支部の決算書をまとめた上で、総合会計を行うので、監査期間を確保することは無理難題。(古書籍小売業)

駐車違反取締りの見直しを強く要望する。配達・集金業務の関係上、10分間くらいの猶予がほしい。また、路上パーキング等の駐車料金が上昇しているので、料金の引き下げも検討してほしい。(帆布製品製造業)

3月

組合制度改正による決算手続では組合事務局に時間がなさ過ぎる。改正案を作成する側は机上での検討だけでなく、現場の状況を把握してほしい。(家具卸売業)

4月

中協法の改正で総会・理事会の日程調整が困難になっている。法律どおりに開催できる組合があるのか疑問である。(織物製外衣・シャツ製造業)

5月

作今、食育の活動が盛んに行われているが、テーマが広すぎて、的が絞りにくい。行政には食育の具体的なテーマや指針を示してもらいたい。(野菜・果実小売業)

6月

大手住宅メーカー・マンションデベロッパーは材料高騰による価格転嫁に応じようとしない。こうした「下請いじめ」を排除してもらいたい。(建築用金属製品製造業)

倫理道徳のかけらもない経営者、食品提供者としての使命感のない、利益追求のみの業者に対して関係官庁はもっと厳しく対処してほしい。(豆腐小売業)

7月

回収業者が生活できる価格で、しかも国内で資源が循環できるよう再生資源ユーザー(製造者)の経営努力と行政庁の適切な指導をお願いしたい。(再生資源回収業)


担 当;東京都中央会 情報課
TEL; 03−3542−0319(直通)
FAX; 03−3545−2190

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