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情報連絡員報告会(平成18年度上期)開催される
〜都内中小企業に景気回復の実感はなく、今期後半の景況は不安定に〜

06/10/3

 東京都中央会は9月27日(水)、東京都中小企業会館9階講堂で「平成18年度上期情報連絡員報告会」を開催致しました。(出席者;111名)
 本報告会は、都内の様々な業種・形態の組合に在籍する「情報連絡員」(150名;製造業65名、非製造業85名)により毎月提出される「情報連絡票」から、半年毎にその期における業界・中小企業の景況の「主な動き」、「特記事項」、「要請事項」等を取りまとめたうえで、状況報告を行い、今後の情報活動の一助とするものです。

なお、月次報告の概要については、本会機関誌《旬刊・中小企業だより》の毎月25日号に掲載しているほか、ホームページ・「調査集計情報」のなかでも報告していますので、ぜひご覧下さい。



 今回の報告会は、まず開会の挨拶を兼ねて本会副会長柿沼伸二から、「最近の中小企業・組合を取り巻く経済状況の一端」が述べられました。
 「行政、金融機関、シンクタンク等の調査によると景気の回復は底堅く、今年度も引き続いて堅調な見通し。企業収益は5年連続して増加しており、『いざなぎ景気』に迫る勢いで、デフレ終息も間近。
 また、バブル経済時の「生産・雇用・設備」の3つの過剰が解消され、その反動もあり再び設備投資が活発になっている。雇用の回復、失業率・有効求人倍率の好転に伴い、また07年問題・団塊世代の退職も迫り、これまでとは異なり、人材不足、求人難の傾向も現れてきている。
 しかし、中小企業の景況は大企業とは異なり、未だに景気回復を実感できない企業が多数。原因としては、グローバルに展開する大企業と国内に依存する中小企業との間に生じる「収益構造の差」と中小企業独特の「世代交代」の問題が大きい。
 日本の企業の90%以上が中小企業であり、我々の生活に密接に関係している。中小企業が活力を取り戻すことにより、日本の9割が元気になることとなる。
 本会では、中小企業活性化の有効な施策を実施していくため、この情報連絡員制度を通じて中小企業の現状と意見、要望など積極的に把握していく所存である。今後ともなお一層のご協力をお願いします」と締め括りました。
 ご来賓として出席された東京都産業労働局商工部調整課係長五十嵐渉氏は、「情報連絡員制度は、都の中小企業連携組織対策事業の一環として長年、実施している。従前より貴重な情報入手手段として、重視しており今後も継続して実施していく予定だ。
 特に毎月提出される連絡票の特記事項欄は、数値ではうかがい知ることができない、具体的な中小企業の問題点などを把握するため、大変貴重かつ有効なものであり、都の施策に反映できるよう活用している」と挨拶されました。
 引き続き、情報課主幹大知里義信は、別冊で配布した「情報連絡票のまとめ」及び「要約」により、今期(18年2月〜18年7月)の『業界の景況』『売上高』『在庫数量(製造業・商業のみ)』『販売価格』『収益状況』『取引条件』『設備操業度(製造業のみ)』『資金繰り』『雇用人員』等のDI値の動向、期中の総合的な動きなどを説明し、質疑応答の後閉会しました。



今期景況の要約


 今期景況の要約として、半年間の期間平均の数値(前年同期比)は、前期と比較して製造業では調査項目の9項目中、3項目が好転、6項目で悪化。非製造業では調査項目の8項目中、全ての項目が好転という結果となった。

 製造業については、今期後半の長梅雨・大雨による影響か、好転していた業界の景況DI値が一時(6月)大幅に悪化、その後に再度好転した。一方、非製造業のDIは、製造業とは対照的な動きを見せるなど不安定だった。ともに『収益状況』のDIは好転した。また、昨年度より、都内の中小企業を苦しめている原油高騰の影響は依然として大きく、価格転嫁は進捗せず、中小企業の経営を圧迫している。
 特記事項からは、多くの業種から「組合員間での格差拡大」「高齢化を原因とした廃業による組合員の減少」「報道とは異なり、景気回復の実感はない」等の報告が寄せられた。また、6月からの駐車違反取り締まりの強化は、中小企業の経営に大きな影響を与えており、猶予期間を検討してほしい等の要望があった。

 今期中に寄せられた特記事項のうち主なもの。

受注減少、原材料価格が高騰しているのも拘わらず、価格転嫁できない企業は廃業に追い込まれている。また、企業間格差が拡大している。(電気めっき業・2月)

組合員間では、仕事量の差異があるものの、全体的には可も不可もない状況で推移している。組合員数の減少幅は小さいが、少子高齢化の影響で確実に減少している。(建具製造業・2月)

原油高の影響でプラグや刃が値上がりし、組合販売価格を見直さなければならないようである。景気が良くなったという実感はない。(硝子機器製造業・3月)

組合員の店舗ではハローワークや就職情報誌で募集しても従業員が集まらず、深刻な問題となっている。(二輪自動車小売業・4月)

クールビズの影響は昨年よりも大きいと考えた方がよいか。中国での絹相場の高騰もマイナス要因になりうる。(織物業・5月)

長雨の影響で日照不足となり、キャベツ等が品不足で高値が続いた。また、野菜の作柄も悪かった。(野菜・果実小売業・5月)

駐車違反取締まりの強化により、業界の生命線とも言えるトラック等の配送に困難が生じている。5分で配送は不可。また、助手席に常時1名を置くのは中小企業には無理がある。(包装材料小売業・6月)

6月からの駐車違反取締まりの強化により、商店街によっては数十回も監視員が見回りにきて、お客の減少傾向や業者と店側のトラブルなど中小企業にとって深刻な問題となっている。(商店街・6月)

天候不順、大雨の影響で野菜類全般に高値で、特に、葉物・ネギが品不足で異常高騰した。果実類も日照不足で甘みが薄く。売り上げが伸びなかった。(野菜・果実小売業・7月)

ビニールプール、浮き輪に代表される水物や花火の売り上げが天候不順により、前年度を大きく下回り、低迷する業界は追い打ちをかけられた状態となり、苦しい経営を強いられている。(玩具卸売業・7月)など。

 主な要望事項の主なもの。

ものづくり・ひとづくりに対する早期の対策を。

クールビズ=ノーネクタイというイメージは払拭すべき。

駐車違反の取締まり強化に猶予期間を。

輸入野菜を増やして、国内の野菜の相場安定を。

■ 本件に関するお問い合わせは、下記あてにお願いします。

東京都中央会 情報課
TEL; 0335420386(代)
TEL; 03−3542−0389(直通)
FAX; 03−3545−2190

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