平成17年度中小企業関係税制改正に関する要望
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平成16年12月1日
東京都中小企業団体中央会
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1. |
17年度税制改正に当たっては、中小企業を取り巻く景気状況に十分配慮すること。 |
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我が国の景気は回復基調にあると言われているものの、中小企業の経営環境は依然厳しい状況にある。
このため、17年度税制改正における個別税制の見直しに当たっては、中小企業を取り巻く景気に配慮する観点から、次の事項を十分踏まえた上で慎重に検討することが必要である。
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<国税・地方税関係> |
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○ |
消費税の引上げの議論は行わないこと |
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○ |
個人所得税・住民税の恒久的定率減税の廃止・縮減の議論は行わないこと。 |
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2. |
中小企業支援・連携組織である中小企業組合に対する税制措置の充実・強化を図ること。 |
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事業協同組合をはじめとする中小企業組合は、協同の理念のもとに中小企業者自らが出資者として参画し、自らが各種共同事業の利用・実施を通して、自らの経営基盤を強化するための相互扶助組織である。
したがって、このような中小企業組合に対する税制面の充実・強化は、個別中小企業者に対する支援の充実・強化そのものであり、逆にその後退は中小企業者に対する支援の後退を意味するものに他ならない。
したがって、次の事項を措置することにより充実・強化する必要である。
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<国税関係> |
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○ |
事業協同組合等の留保所得の特別控除制度の延長 |
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○ |
中小企業等の貸倒引当金の特例制度(事業協同組合等に対する法定繰入率の割増し措置)の延長 |
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○ |
事業協同組合等に対する法人税率の引下げ |
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○ |
創業組織である企業組合及び事業統合組織である協業組合に対する法人税率の引下げ |
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○ |
事業協同組合等の法定繰越金(根拠法により教育情報費用繰越金として当期利益の一定額を翌事業年度に繰り越すことを強制)の非課税措置の創設 |
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○ |
金融事業を実施する事業協同組合等が資金を金融機関から借り入れる際に振り出す約束手形に係る印紙税(手形金額に応じて最高20万円)を金融機関、農業協同組合と同様の扱い(定額200円)とする措置の創設 |
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○ |
火災共済協同組合等の異常危険準備金の損金算入措置の恒久化及び10年洗替保証限度率の引上げ |
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○ |
「中小小売商業振興法」に基づいて整備される商業施設等の特別償却制度の延長
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<地方税関係> |
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○ |
事業協同組合、商店街振興組合等が独立行政法人中小企業基盤整備機構等から融資を受けて設置する駐車場等の施設に係る固定資産税の非課税措置の創設 |
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○ |
事業協同組合等が独立行政法人中小企業基盤整備機構等から融資を受けて取得した不動産を組合員である中小企業者に再譲渡する場合の不動産取得税の免除措置の拡充 |
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○ |
事業協同組合等に対する法人住民税均等割税額の軽減措置の創設 |
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○ |
「中小小売商業振興法」に規定される高度化事業計画に基づき設置する共同施設等に対する事業所税の資産割に係る非課税措置の延長
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3. |
中小企業に対する既存支援法の新法(中小企業経営革新等総合支援法(仮称))への統合に伴う税制措置の統合、強化等を図ること。 |
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期限の到来する中小企業創造活動促進法に加え、中小企業経営革新支援法および新事業促進法の3法の統合等による中小企業経営革新等支援法(仮称)の制定に伴い、次の税制措置を講じることにより、引き続き、中小企業の経営革新等を支援することが必要である。
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<国税関係> |
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○ |
中小企業に対する既存支援3法の中小企業経営革新等総合支援法(仮称)への統合に伴う設備投資減税、同族会社の留保金課税の停止措置、エンジェル税制の適用、高度技術産業用設備の特別償却制度等所要の税制措置の統合、強化等
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<地方税関係> |
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○ |
中小企業経営革新等総合支援法(仮称)に規定する経営基盤強化計画(仮称)を実施する中小企業者等の経営基盤強化事業の用に供する施設に対する事業所税の資産割、従業者割の非課税措置の継続適用 |
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○ |
新事業創出促進法の中小企業経営革新等総合支援法(仮称)への統合後における独立行政法人中小企業基盤整備機構の業務に対する不動産取得税、特別土地保有税の非課税措置等の継続適用 |
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○ |
中小企業創造活動促進法の中小企業経営革新等総合支援法(仮称)への統合後におけるエンジェル税制の継続適用、特定中小会社の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例措置の延長
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4. |
中小企業の積極的な事業展開を支援するための中小企業関係税制の充実・強化を図ること。 |
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本格的な景気回復を図り、強い日本経済を復活させるためには、中小企業の積極的な事業展開を支援するための税制を充実・強化することが不可欠であることから、次の事項を措置することが必要である。
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<国税関係> |
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○ |
中小法人に対する軽減税率の引下げとその適用所得範囲の引上げ |
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○ |
中小法人の交際費の損金算入限度額の引上げ |
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○ |
法人の欠損金の繰戻還付措置の停止解除及び繰戻し還付期間の延長 |
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○ |
退職給与引当金の損金算入制度の再創設 |
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○ |
中小企業等の貸倒引当金制度(中小企業等に対する法定繰入率による繰入措置)における損金算入限度額の引上げ |
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○ |
約束手形等、受取書に対する印紙税の非課税限度額の引上げ |
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○ |
パートタイム労働者等に対する所得税の非課税限度額の引上げ |
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○ |
中小企業者等の少額減価償却資産の特例に係る対象資産価額の引上げ |
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○ |
情報通信機器等を取得した場合等の特別償却等における適用対象の拡大(ソフトウエアの変更等の追加) |
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○ |
中小企業投資促進税制における税額控除率及び特別償却率の引上げ |
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○ |
抜本的な減価償却制度の見直し |
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○ |
商工組合中央金庫等の抵当権設定登記等の登録免許税の軽減措置の延長 |
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○ |
中小企業等基盤強化税制の延長 |
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○ |
中小同族会社の留保金に係る重課税制度の廃止 |
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○ |
中小企業の利用に十分配慮した人材投資促進税制の創設 |
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○ |
青色申告者に対する事業主報酬制度の創設 |
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○ |
環境税の導入反対
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<国税・地方税関係> |
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○ |
中小企業政策とリンクした形での法人税法・地方税法等の中小企業の範囲の拡大 |
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○ |
自動車取得税及び揮発油税に係る消費税課税の廃止 |
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○ |
企業年金等の積立金に係る特別法人税の廃止 |
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○ |
適用期限の到来する公害防止用設備の特別償却制度の延長と拡充 |
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○ |
非上場株式等を対象に含めた上での金融所得課税の一元化等の措置の創設
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<地方税関係> |
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○ |
固定資産税の負担軽減措置の一層の強化(負担水準の一層の引下げ、条例減額制度の適用拡大) |
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○ |
創業期の研究開発型ベンチャー企業に対する法人事業税の資本割に係る課税標準の特例措置の創設 |
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○ |
事業所税の廃止 |
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○ |
NOx等の排出基準適合車への買換えに係る自動車取得税等の軽減措置の拡充 |
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○ |
法人事業税の外形標準課税の適用対象拡大反対
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5. |
中小企業者のための事業承継税制を確立すること。 |
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地域における雇用を維持し、地域経済を支える中小企業者が事業用資産や自社株式を事業の後継者へ承継することは、我が国経済に与える影響や効果の面から見て、非事業者における贈与や相続と全く異なる行為であることを十分認識した上で、次の事項を考慮し、一般の相続税制と区分した中小企業事業承継税制を確立することが必要である。
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○ |
事業用資産に係る相続税の包括的な軽減措置を認める制度の創設 |
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・ |
生前相続特例制度(事業承継後一定期間の事業継続を要件とした上での相続時までの贈与税の猶予、免除、相続税の減額、免除)の創設 |
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小規模宅地等の相続に係る非課税措置の創設 など |
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○ |
取引相場のない中小会社の株式等に係る評価方法の改善 |
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・ |
類似業種比準方式における減額率の一律50%以上への引上げ |
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担保価値を反映した評価方法への改善など純資産価額方式の見直し |
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類似業種比準方式と純資産価額方式の自由選択の容認 など
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