横目でみたアメリカ
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「その来たるや風のごとく、その去るや魔のごとし。昨夕の新聞に、君の記事が出ていた。君がロサンゼルスで会った実業家や新聞記者は、君からきわめてよい印象を受けたそうである。彼らは、君を“大もの”(BiG shot)だといっている。日本の少壮実業家のなかに、君のごとき“大もの”“傑物”を見出したことを、むしろ以外に感じているようである。(中略)実に多忙な五日間だったが、ライオンのごとく行動する君には、それくらいなんでもないことだろう。将来、かならず大をなすであろうほどの男は、やはり常人と異なっているものだと思う。精力的で、疲れを知らぬだけでも、たいしたものだ。(中略)
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ロサンゼルスのビルトモア・ホテルでカクテル・パーティを催したのだが、当夜はUPのダン・ジョーンズ記者、ミラー紙のブリストン経済部長、パシフィック貿易新報マコーミック社長、商務省ロサンゼルス地方事務局ジョリス貿易課主席、ライオン社ハスウェイ副社長、映画「東は東」に出演した俳優フィリップ・アーン氏など、にぎやかな顔ぶれが集まった。パーティが終わってから、ジョーンズ氏が中共との貿易について話してくれと切り出した。私はビジネスマンだから政治的な話はご免だと断ったのだが、先方は勘弁してくれない。
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こんなふうに話したまでであるが、ジョーンズ氏はフランクでよろしいという。これまで、日本人がこれほど率直に意見を述べたのを、聞いたことがないといった。
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民間経済使節という肩書きは、私のあずかり知らぬところなのだが、いつの間にか、そう名づけられたようである。日本の中小企業者で、アメリカ人と腹を割って語り合ったのは、私が最初だそうで、先方も大いによろこんでくれたのはしあわせだった。ズケズケいうのも、ときには好結果をもたらしてくれるものである。念のため、つけ加えておくが、私はアメリカにいったからといって、よそゆきの言動をとったわけではなく、日本で繰返してきた日常のふるまいを、そのまま続けただけのことである。
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