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もう戦後ではない、こういわれるようになってから、道徳教育をめぐる議論がにぎやかになった。すぐに、そのあとから不道徳講座と名乗るものがあらわれ、これはこれで、結構、人気があるらしい。世の中というものは、すべてこんな具合で、一方が白といえば、一方は黒という。右といえば左、保守といえば革新といい、人それぞれが、その言い分に筋をとおそうとするから面倒になるのであるが、そこで考えてみると、表と裏、背と腹のようなもので、片方の面からばかりながめすぎるのである。そこから矛盾が生じてくるのだろうが、私たちすべては、その矛盾のなかに住んでいることも、否定するわけにいかない。
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