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労働組合が団体交渉を申し入れてきたからといって、顔色を変えるにはおよばない。まあ、会議室にとおしなさい。そして
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どんな場合でも、労働組合法第一条第二項で暴力は許されていないのだから、このことを、まずしっかりと頭に入れておく必要がある。もしも、脅迫を受けたら刑法第二百二十一条、暴行されたら第二百八条、傷害を受けたら第二百四条、監禁されれば第二百二十条、器物をこわされたら第二百六十一条といったぐあいに、日時と場所と相手をおぼえていれば告訴できることになっている。むろん、こんなことは避けるに越したことはないが、組合だけが一方的に、なにをやってもかまわないというわけではない。これを知っていてほしいのである。 |
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よく考えてみると、労働組合もノーマルとは申しかねるような気がする。われらの敵だ、断固としてたたかおう、そして、われわれは勝利をかち取った…とくるのだからやりきれない。相手がそうなら、こちらも、それなりのやりかたで立ち向かわなければ調子が合わないではないか。敵、敵と口にしながら、その敵から給料をもらうというのも、おかしな話である。敵の給与を受けるのは、捕虜だけで、捕虜には、なんの権利もなかったと思い込んでいた私の頭がおかしいのであろうか。搾取、搾取というけれども、いまの世の中で、本当にそうなのは、巨大企業の経営者とその労働者。もうひとつ、親方日の丸のお役人ぐらいのものである。とりわけ、親方日の丸組は、生産性と賃金というルールからみたら、お話にならない。おそろしく非能率的な仕事をして、そのくせ税金だけは無神経なまでに、お使いになる。人事院という結構なお役所が能率の判断もせずに、ベースアップの勧告をしてくれるのだから、まことにありがたすぎる。それにしても中小企業にシワよせしたうえで、大企業の労使が安眠していながら、二重構造の解消などというのは、まことにもって筋がとおらないと思う。
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