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人が集まれない状況下でも心のこもった葬儀を営む

株式会社オリハラ 中央博善社
2020.10.12

故人のためであると同時に、残された人が気持ちの整理をつけていくために必要な葬儀であるが、感染拡大以降、人が集まれないことによって大きく制限を受けている。そうした中でも、故人や遺族に寄り添った葬儀を感染症対策と両立させながら提供している。

取組みのポイント

  1. ① 受付には飛沫防止シールドを装備
  2. ② 3密回避の立ち位置、換気を徹底
  3. ③ 精進落としも各人用で提供
自社ホールでは、いたるところで消毒・換気を万全に行っている

企業紹介

創業は大正10年、設立は平成20年。主に墨田区の葬儀で地元からの厚い信頼を集める老舗企業である。仏式、神式、キリスト教式、イスラム教式等、あらゆる宗旨・宗教や、家族葬から一般葬、社葬まで様々な規模の葬儀に対応している。墨田区内で自社斎場ホールを3か所管理運営している。

代表取締役 濱名雅一氏 管理監督 本部長 梅田則子氏

Q: 工夫した点は?

A: どのようなときでも、大切な人との別れの時間は特別なものです。故人と心を通わす時間を少しでも安心して過ごしていただけるように、細心の注意を払っています。
 実際にCOVID-19で亡くなった方もいらっしゃいました。その場合は厚生労働省から示されている指針通りに、納体袋の利用やお棺の徹底除菌、スタッフは防護服の着用等、ご遺族はもちろんのこと、私たちスタッフも感染しないように十分な対策をとりながら、最後のお別れをしていただきました。

Q: 取組みの成果は?

A: 今回の新型コロナ感染症では、社会全体が大きな不安に包まれました。人が集まれなくなってしまいましたが、このような時こそ、お坊さんには残された家族の心のケアになるようなお話をしていただきたいです。ですから、この時期、お坊さんにとってもご遺族にとっても、どのような式がよいのかという点は、本当に難しい調整と判断の連続でした。
 また最初の頃は感染者に対する火葬場の受入れ体制も万全ではなく、組合を通して東京都に陳情も行い、改善に繋げることができました。

Q: 今後の展望は?

A: 確かに、葬儀が小規模となり当社の経営は前年比5割程度と厳しくなっています。しかしそれ以上の意味として、葬儀というのは、送る人たちが属する町内会や会社といった組織のトレーニングでもあるのです。こうした経験が、災害等に直面した時の力となります。
 今年は祭りもありませんでしたので、地域との繋がりを実感するあらゆる機会が失われました。私たちの地元墨田区は、まだこうした繋がりが残っている地域です。これを大切に守っていきたいと思います。

お焼香の列での立ち位置の案内
精進落としは各人用とし、座席間隔も広く設置
本社受付の飛沫防止シールド
厚労省認定1級葬祭ディレクターによるアドバイス

成功のポイント

 いま改めて私たちの仕事の重要性を実感しています。大切な人とのお別れにいかに向き合い、そしていかに自分は生きていくのかということを考え、少しずつでも心を整理していくきっかけとなるのが葬儀です。
 いつどのように訪れるかわからないのが死です。感染症対策は万全に行いながら、これからも、故人やご遺族の心に寄り添った葬儀をご提供したいと思います。