事例12 屋形船 一覧に戻る

万全の感染予防対策でイメージ回復を目指す

株式会社船清
2020.10.5

屋形船にはホテル並みにいろいろな人が訪れる。感染拡大の最初期に悪いイメージを持たれてしまったが、その後利用者の不安を払拭するために、保健所や感染症の医師の意見を聞きながら、手探りながらも出来うる限りの対策を講じている。

取組みのポイント

  1. ① AIを利用し検温・マスク着用をチェック
  2. ② 待合エリア、船内も空気清浄を徹底
  3. ③ 座席数を減らして3密を回避
船内はアクリル板の仕切りや空気清浄機等を完備し、座席間も広くするなど万全な予防対策がとれられている

企業紹介

昭和24年設立。現在8艘の屋形船を所有する。品川から隅田川を上り、約2時間半で往復する周遊コースがある。春のお花見、夏の花火、秋のお月見、冬の夜景観賞等、四季折々の風情と旬の料理を楽しむことができる。利用方法には、20名以上で利用できる貸切船と2名から利用できる乗合船の2種類のプランがある。

女将 伊東陽子氏

Q: 工夫した点は?

A: まだ新型コロナウイルス感染症自体を知らなかった1月中旬のお客様から、感染者が確認されました。それが大々的に公表された2月中旬以降は、本当に大変な日々でした。感染の危険性が解明された後は、お客様はもちろんのこと、社員の健康と生活を守るためにも、できる限りの努力をして参りました。
 しかし、当初はわからなかったこととはいえ、結果的に屋形船業界全体への影響が出てしまいましたことには、本当に申し訳なく思っております。

Q: 取組みの成果は?

A: お客様には入り口で手指消毒、検温、水成二酸化塩素の空中噴霧、足元除菌のエリアを通っていただきます。AIを活用した検温器では、画面に顔を合わせて体温測定するだけでなく、マスク未装着の場合には言葉でお伝えし、データも1週間ほど保存できるようになっています。
 船内では、席の間隔を開け、アクリル板で仕切り、水成二酸化塩素で除菌しています。一部の船には光触媒の機能を持った酸化チタンを噴霧しました。航行中は船窓を開け、常に風を通す工夫もしています。

Q: 今後の展望は?

A: 2月中旬以降、開店休業状態でした。緊急事態宣言中は休業しましたが、その後も売上は大幅に落ち込みました。常連の方にも支えていただいて、9月には、ようやく例年比10%に戻せると思います。しかし、インバウンドの回復には数年かかるでしょうし、この先も厳しい経営状態が続くと思います。
 いま、屋形船に個室を設ける準備を進めております。皆様に屋形船は安全であると知っていただき、安心してご利用いただけるように、精一杯の努力して参りたいと思います。

入り口の検温機はAI搭載で高性能
豚コレラの除菌でも効果が証明された足元除菌を導入
待合エリアの床も次亜塩素酸を毎日噴霧
従業員が率先して小まめな消毒作業を行っている

成功のポイント

 日々感染者を出さないための努力を真剣に行っております。そして、その後感染者を出していないのは、こうした努力の成果だと思います。まずは国内観光客に利用してもらえるように、自社のサイトやSNSを活用して、わたしたちの取組みを発信し、屋形船の魅力を伝えて参りたいと思います。そしてもう一度世間の信頼を回復し、屋形船業界全体を盛り上げていきたいです。