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子どもから大人まで、安心して文化を楽しむ環境を実現

株式会社教文館
2020.9.24

135年の歴史を持ち銀座屈指の老舗である当店では、書籍・雑貨販売のほかに、ネット通販、カフェ、ホール・各階ギャラリーでの特別展と広範なサービスを提供している。それぞれにおいて必要とされる対策と運用を当店独自に策定し、誰もが安心して利用できる環境づくりを行っている。

取組みのポイント

  1. ① カウンターに飛沫防止シールドを設置
  2. ② 会計待ちの立ち位置を床に表示
  3. ③ イベントやカフェも3密回避を工夫
各種シールドやアルコール消毒を設置。1 時間ごとの換気を行う。カフェの座席は向かい合わせにならないように工夫

企業紹介

創業明治18年。アメリカから派遣されたメソジスト教会の宣教師たちにより、伝道を目的とした書籍の販売や出版活動のための組織として始まる。明治24年には銀座に書店を開店し、キリスト教関連の専門出版社として今日に至る。店舗が入るビルは戦前から残る建造物のひとつであり、アントニン・レーモンドの設計による。

取締役 森岡 新氏

Q: 工夫した点は?

A: 都の休業要請に書店は含まれていなかったのですが、独自の判断により4月から5月にかけて49日間休業しました。その間にまずは他店の対策を参考にしながら、当店なりの感染予防対策をサイト上でお知らせすることから始めました。
 また、カウンターの飛沫防止シールドの設置、入り口に設置する消毒液、その補充方法、定期的な消毒作業や換気、また、そうした作業はお客様の目にも触れますので、館内アナウンスをどうするか等、細かい点まで準備をしました。

Q: 取組みの成果は?

A: 当店には、書籍販売フロアの他に、児童書を専門に扱う6階のナルニア国、4階にはカフェと各種グッズを扱うエインカレム、そして9階に特別展を開催するホールがあります。例えば3つの密の回避のために、ナルニア国では選書机のコーナーをなくすなど、ご来店の目的や滞在時間を考えながら対策をしています。
 このように手探りながら運用できるようになってきたため、作家さんの事務所の全面協力の下、9月にはホールで特別展を無事に開催することができました。

Q: 今後の展望は?

A: 銀座全体での人通りがまだ少なく、5月で来客数7割減、その後徐々に回復して現在は5割減というところです。特に1階はインバウンド客による文房具の売上がなくなったので、厳しい状況ではあります。
 当店の特色であるキリスト教関連の専門書は、特に休業中にネットでの受注量が増えたため、当該部門のスタッフには負荷がかかりました。やはり安定して開店できることが重要ですので、まずは感染者を出さないための対策を最優先として取り組んでいきたいです。

入店時と各フロアの入り口では手指消毒
会計時のソーシャルディスタンス表示
作家とコラボした来場時の協力案内
カフェでは飲食時にマスクを入れる袋も配布

成功のポイント

 思い切って開催した「藤城清治 光と影の生きるよろこび展」には例年通りの来客があり、訪れたみなさんに喜んでいただけてよかったと実感しています。
 残念ながらサイン会は見合わせていますが、これから少しずつ新しい日常に向けて、居心地の良い空間をモットーに、作家、出版社、そして書店が一緒になって、文化に触れる喜びをお届けできるように頑張りたいと思います。