平成16年4月26日

東京都産業労働局
局長 有 手  勉 殿
東京都財務局
局長 櫻 井  巌 殿
東京都都市整備局
局長 梶 山  修 殿

東京都中小企業団体中央会

会 長 菅 谷 頼 道

官公需適格組合等の活用についての要望

 平素は、中小企業振興対策につきましては、多大なご尽力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、平成15年12月に公表されました、政府の総合規制改革会議の「規制改革の推進に関する第三次答申」のなかで「中小企業者に関する国等の契約の方針」(閣議決定)に基づく官公需施策については、「政府調達の公正性と経済的合理性や効率的な予算執行の確保といった視点を十分踏まえて………その在り方の見直しを検討」としています。また、「中小企業向け契約目標」についても数値設定のあり方の見直しを検討すべきであるとしています。
 これは、政府調達において、競争原理をより一層導入していくとの考え方のもとに進められたもので、これを受け、政府は、平成16年3月19日に2004年度から3年間に取り組む「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」を閣議決定しました。
 このような官公需施策に関する見直しの開始は、地域中小企業や中小企業者で組織された事業協同組合等にとっては、非常に懸念されるところであり、その結果如何によっては、中小企業及び関係組合の死活問題となり、極めて深刻な事態が予想され、とうてい見過しできるものではありません。この問題については、全国中小企業団体中央会は、官公需施策の見直しは官公需法に対する理解不足であり、官公需施策の後退につながるとして、国等に対し強力に要望し、意見書を発表しております。
 本会は、東京都内の事業協同組合等の官公需受注機会確保のための支援事業を実施しており、とりわけ官公需適格組合の受注促進を支援しております。
 このたび多くの官公需適格組合等からの要請を受け、これを別紙のとおり要望事項としてとりまとめました。
 前述のとおり、中小企業及び官公需受注を巡る大変厳しい状況をご理解いただき、東京都に於かれましては、別紙の要望事項の実現方につきまして格別のご尽力いただきますようお願い申し上げます。
 なお、大変恐縮に存じますが、この要望に対する東京都のご意見を賜りますようお願いいたします。


 (別紙)

官公需適格組合の活用についての要望

東京都中小企業団体中央会

1.

物品・役務の入札参加申込に際しては、参加資格要件をつけないで欲しい。
要件をつける場合であっても、組合員の実績を組合の実績として評価をしていただきたい。

 物品・役務の入札参加申込に際して、「入札に参加する者に必要な資格」として業務実績が求められる場合が増えております。業務実績の参加資格要件をつけることは、組合のみならず中小企業の新たな参入の阻害要因となり、競争促進政策にそぐわないこととなりますので、参加資格要件をつけないで欲しい。
 官公需適格組合が入札参加申込をする場合にあっては、組合等が新規参入しやすいよう、理事組合員又は施行予定組合員実績を組合の実績として評価していただきたい。

2.  官公需適格組合が、「審査対象事業者方式」を採用して物品買入れ等競争入札参加資格審査を受ける場合には、審査対象事業者は「東京都に対し競争入札参加資格審査申請済の理事所属事業者」と定められたが、「理事所属事業者」と改正して欲しい。
 また、国等では一つの窓口で競争入札参加資格審査を受ければ、全省庁に同一資格にての登録ができることとなっているので、東京都においても、競争入札参加資格の統一・共通化を図っていただきたい。

 官公需適格組合が、平成15、16、17年度の物品買入れ等競争入札参加資格審査申請に際して、審査対象事業者方式を採用する場合、審査対象事業者は、「東京都に対し競争入札参加資格審査申請済の理事所属事業者とする」となり、「組合の理事が所属していない事業者及び平成15、16、17年度の競争入札参加資格審査を終えていない事業者を審査対象事業者として申請することはできません」としているが、従来はこのような条件は付されておりませんでしたので、「理事所属事業者」と改正して欲しい。
 国等においては、競争参加資格申請を平成13年1月より全省庁に共通な統一資格とし、官公需適格組合の資格申請に対しては、従来、一部でしか採用されていなかった審査対象事業者方式を全省庁に適用し、「組合及び構成組合員のそれぞれに係る財務諸表類を添付」としています。国等では、「審査対象事業者に対して競争入札参加資格審査申請をしている事業者」との条件を付していないので、東京都においても同様の取扱をしていただきたい。
 また、国等では、一つの窓口に競争入札参加審査申請を行えば、全省庁に同一資格での登録ができることとなり、中小企業等の利便が図られました。
 東京都においても、発注窓口一箇所に競争入札参加資格登録をすれば東京都のすべての発注窓口で統一・共通な資格となるようにしていただきたい。

3.  建設業の官公需適格組合における「組合受注工事の施工担当組合員持分の元請扱い制度」については、従来どおり存続していただきたい。

 従来、東京都は組合に対し、一括下請負を承諾し、施工担当組合員の持分の施工実績を元請扱いとし、入札参加資格格付時の主観点数評価に適用していただいておりました。このことは、東京都が中小企業施策として中小企業組合に対して配慮していただいていたものと感謝しております。ところが、平成17年の入札参加資格審査申請から下請け実績として取扱うとのことであります。
 組合と組合員との関係は、建設業法上「元請」と「下請」の関係であるとの見解が出され、東京都建設業課でも「組合から組合員が受注した工事は下請」との対応をされると聞いておりますが、従前も現在も下請負であることは不変であります。東京都では、従来、一括下請負承諾書においても施工予定組合員を「下請事業者」と明記しており、元請、下請関係であるとの解釈のもとに実施されていたと考えられます。
 また、組合受注工事の施工担当組合員持分の元請扱いについては、格付審査時の主観的点数評価の際の1件完成工事高として取扱、1件完成工事高を格付け審査の項目としている機関は、東京都及びその傘下以外にはなく、この制度を存続しても他機関に波及することはないと思われます。従って、この制度を変更することなく、従来どおり東京都独自の中小企業施策として存続していただきたい。

4.  建設業官公需適格組合における監理技術者の配置については、協同組合の特殊性に鑑み、弾力的に運用していただきたい。

 建設業組合が官公需を受注する場合、入札申込み時に恒常的雇用関係のある監理技術者を定め申し込まなければなりませんが、東京都の場合、最も厳しいところでは、3ヶ月以上の雇用関係がなければ恒常的とは認められないとしております。
 しかし、国土交通省においては、一定の要件を満たした企業集団について在籍出向を認めています。即ち、親会社と子会社といった企業間の結びつきを考慮し、企業集団を一体として取り扱っている訳であります。
 東京都では、官公需適格組合の入札参加資格審査申請に際して、「事業協同組合に係る総合点数の算定方法に関する特例要領」により理事の所属する5企業以内の完成工事高、資本金、従業員数、技術者数等を合算、平均等して格付け審査を行っていただいております。しかし、東京都はじめほとんどの発注機関で組合は一企業であるとして、単に点数のみの合算だけで、その審査対象事業者の実績、内容まで踏み込んでの評価がなされておりません。
 また、東京都の現行制度では、組合の施工能力評価における一件実績を審査の対象とした5企業の実績を組合実績として評価をいただいております。このことは、組合を企業の集合体と評価しているからだと思います。組合と組合員の結びつきが企業の集合体であるとの観点からの配慮をお願いしたい。
 特に、組合が受注した工事については、契約時に当該工事に精通した組合監理技術者が施工・監理出来るよう変更を認めていただきたい。また、組合は一企業とは異なり組合員企業の集合体であるから、施工時に組合員企業からの転籍出向技術者の変更を特例として認めていただきたい。

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