これにくらべれば、少しはマシなのが無難型。ひととおりの訓練も受けているし、仕事にもまずまずの理解力がある。人を使うことも一応は心得ている。だから型にはまった仕事は無難にさばくが、それ以上のことを望むと、たちまち手をあげてしまう。定石どおりにはやるが改革とか、刷新とかにはまことに不向きな人物である。三番目は指導者型。指導者という名がつけられるのだから、創意、先見、思慮、判断、実行力など、いろいろの条件が求められる。どこの会社にも、社風というものがあるが、これは一朝一夕で、できあがるものではない。たいてい経営者の思想、理念が社風となってあらわれており、質素な社風もあれば、豪放な社風もある。なによりも信用という社風もあろう。このような社風は、指導者と呼ばれる人が長年にわたって、社員の一人一人に徹底させ、築き上げてきたもので、一歩社内に足を入れると、その応待ぶりや茶わんひとつの扱いかたで、その社風が感じられる。こうした印象が会社の実情を知るうえに大いに役だつことは、私の経験でもよくわかる。社風を創造するのは指導者であろう。
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