中小企業の座

 妻の座、夫の座などと、このごろは「座」という言葉が一種の流行語になっているようである。だからといって、決して新しい言葉ではない。
 全国各地の商店街に“銀座”があるが、本家はいうまでなく東京の銀座で、そのまたご本家は駿河銀座である。徳川家康が開いたものであるが、起源をたずねていくと、遠く足利時代にさかのぼるといわれる。

 江戸時代の銀座は幕府直轄の銀貨鋳造所で、銀貨鋳造権を独占していたから、当時これを請負ったものは巨富を築いた。今日でいえば、独占企業である。それをめぐって不正、汚職が生じていたのは、どうやら現代の政治にも通じているようである。

 “座”とは独占行為の場、特権の場をさすのであろう。こう考えてみると、大企業に“座”はあっても、中小企業にはないように思われて仕方がない。大企業は、ますます座をひろげ、中小企業はどうやらそのおこぼれをちょうだいするだけで、しかもおこぼれを求めるために、ひどい競争を繰り返すのである。大企業だけに特権の“座”を占めさせずに、中小企業も、なんとか“座”につきたいと思う。いまのままでは“座”を遠ざかるばかりである。
 中小工場は企業集団の組織をつくるか、合併すること。商店も同じようにしてデパート、スーパーマーケットをつくりあげること。そして双方が手を結べば、中小企業も“座”につくことができる。
 ただ、いたずらに大企業、外国企業の進出に反対し、その規制をさけぶだけでは能がなさすぎる気がしてならない。“座”に必要な資金を、ぜひ獲得しようではないか。中小企業の政治活動も方向を変えて、一本の線を太く、強く押し出していきたいものである。

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