「カネ出せ、ヒマ出せ、シャベリ出せ」

 中小企業の集まりに、毎日のように顔を出している。全国的な組織の大会、地方ブロックの会合、また、それぞれの委員会、分科会と、数も種類もさまざまなのであるが、そこで、いつもいわれることは、政治力の結集、団結であり、組織の強化である。それにもかかわらず、結集や組織がはかばかしく進まないのは、なぜであろうか。ひとつの答えを出せといわれるなら、それは、いいっ放しだからである。せっかくの会合が、結果的には、放談会になりがちだからである。
 大会で、いくら声涙ともにくだる熱弁をふるっても、一歩外に出ると、忘れてしまったのではないかと、疑いたくなる実例に、よくぶつかる。

 
 団結といい、政治力の結集といい、中小企業運動は、みんながそろって働くことに本当の意義があるが、それにはカネがかかり、ヒマがいり、そしてシャベルことも必要だと思う。
 カネ、ヒマ、シャベルの三条件のなかで、中小企業の人たちがもっとも活発で、また得意とするのはシャベルことのようである。世の指導者といわれかたがたは、とくに、そういえるかもしれない。そこで、残る二つ、つまりカネとヒマを出しさえすればよいということになるのであるが、この方はあまりお好きではないから、問題の解決がいっこうにはかどらない道理である。

 三百五十万といわれる中小企業が、かりに一人千円ずつ出し合ったら、三十五億円も集まる。これだけあれば、随分効率的な運動が展開できるであろう。そして、だれかがやってくれるだろうなどと、人まかせにせず、一人一人がヒマを出して活動に加わることである。自分が直接にもうからないことには、カネもヒマも出さないといっていたのでは、いつまでも陽光をみることができない。
 このへんで、カネ出せ、ヒマ出せ、シャベリ出せの順序を、正しく打ち立てることこそ必要なのである。もしも、ヒマを出せないという人がいたら、カネを出すことで、シャベリ出すのは、それからにするのが、中小企業運動のルールというものであろう。

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