お山の大将よりも、心豊かなサラリーマンになりなさい。企業合同が近道ですよと申し述べたが、それは先の見込みがある企業のことである。お先真っ暗の企業に、なにをいっても仕方がなかろう。そこで会社の整理にとりかかると、債権者が押し寄せてくるし、従業員も騒ぎ出す。こういう会社にかぎって、平素がルーズだから、なにがどうなっているのか、したがってどうしたらよいのか、判断がつかず、収拾がつかないものである。では打つ手がないのかというと、そうではない。実に、うまい手がある。
それは、まず税金を払わぬことである。絶対に滞納して、そして差押さえ処分を受けることである。そうすれば、否応なしに、税務署が整理をしてくれる。自分の手ではどうにもならず、そのうえ、ノイローゼになるよりも、いっさい税務署にお任せするのが上策、得策というものである。
こうして、弱小企業がだんだん整理されていけば、二重構造もおのずから解消する。しかも、税務署、つまり政府の手で、それをやるということなのだから、まことに首尾一貫していると思う。
万一、税務署が親心を出して、差押さえをしないような相談を持ちかけてきたら、超長期月賦納税ではいかがでしょうと、伺ってみること、それが合理的である。とにかく、最後は税務署にまかせると、腹をすえること、だから税金は滞納するにかぎる。
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