およそ、ものごとの処理などというものは、右か左か、進むか退くか、この二つの、どちらかに決めてかかるにかぎる。中途ハンパは絶対禁物、つまり、他人さまの考えがどうあろうと、あたまから無視して、自分の考えだけを、有無をいわせず、相手に押しつけることである。これを押しとおせば、あとは他人さまが、世間さまが、こちらについてくるものである。
考えてもご覧なさい。いまの日本の、どこに良識がありますか。大正ッ子のいいところは戦争でやられ、明治と昭和がぶつかり合っている。そこに常識を詰め込もうというのが、そもそもの間違いである。明治生まれは、おれがまっとうだというし、昭和生まれは、それをせせら笑うのだから、そこに常識が育つ気づかいがなく、あたり一面非常識だらけである。もっとも、支配権をにぎっているということでは、明治生まれが断然優位に立ち、昭和のあんちゃんは、せいぜいカミナリ族になってわめき散らすぐらいなものである。
今日、ノーマルな経営者とは、一体どんなやつをさしていうのだろうか。一、二度海を越えて、あちらの国々の変わりぶりをみてきた連中、これが一級かもしれない。本を読んだり、人の話をきくやつ、これが二級。級があるのはここまでで、あとは寝てもさめても、ゼニもうけ、ゼニもうけと目の色を変えている亡者どもである。
|